1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670076
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Research Institution | Chukyo Women's University |
Principal Investigator |
田村 明 中京女子大学, 家政学部, 助教授 (60121563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝山 正己 中京女子大学, 体育学部, 教授 (70065580)
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Keywords | 運動性貧血 / 溶血 / 血中遊離脂肪酸 / 赤血球形態変化 / 可塑性 / 生化学 / 生理学 / 栄養学 |
Research Abstract |
運動性貧血の発症に対する血中遊離脂肪酸(FFA)の関与を追求し、その予防法を考案すべく以下検討した。 1.FFA濃度の上昇に与える運動強度と運動前の生理条件を検討した。85%VO_<2max>の激しい運動時(血中乳酸3mM以上)よりも、50%VO_<2max>の運動(乳酸1mM以下)時の方が、FFA濃度の上昇が著しかった。また、食後十数時間経過した空腹時(呼吸商0.77で脂肪の燃焼比率が大)では、運動前のFFA濃度の高値に加えて運動後には著しい上昇(1.70±0.48mM、最高値は2.7mM)が認められた。一方、食事2〜3時間後(呼吸商0.87)の同条件の運動を負荷してもFFAは殆ど上昇しなかった(0.57±0.24mM)。 2.血中に増加したFFAと同じ組成のFFA混合物(1.5〜2mM)を試験管内で全血に添加したところ、赤血球の形態変化(echinocyte)が生じた。この変形赤血球を5μmのporeを持つhemafilmembrane濾過したところ濾過速度の低下が認められ、脂肪酸負荷により赤血球の可塑性の低下することが明らかになった。 3.本学中長距離選手のトレーニング前後における血中ハプトグロビン濃度を測定したところ、運動後には検出不能にまで低下しており、半日の運動で著しく溶血の生じていることが明らかになった。 4.上記選手の中でヘモグロビン濃度が10〜12g/dlしかない貧血の選手に、ペプチド(牛乳たんぱく質を消化酵素で部分分解したもの)を1日に20g負荷摂取させたところ、貧血の改善効果が認められた。 5.以上により、運動性貧血発症の一因子としてFFAの関与が示唆された。また、これの発症予防には運動開始数時間前に十分な糖質を摂取すると共に、たんぱく質の積極的摂取が重要と思われる。
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Research Products
(2 results)