1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670078
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Research Institution | NARA Women's University |
Principal Investigator |
三木 健寿 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (80165985)
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Keywords | 運動 / 動脈圧 / エネルギー代謝 / 交感神経活動 / ラット |
Research Abstract |
本研究の目的は、ラットを用い中等度の持続的な運動を行った際の動脈圧調節系の修飾機構を検討するものである。本年度は、昨年度に開発した、ラットのトレッドミル運動モデルを用い、循環系、エネルギー代謝系、および腎交感神経活動の動態について検討した。 ウィスター系のラット(290g、n=10)を用い、運動中の動脈圧、中心静脈圧、心電図、心拍数、腹腔内温、および腎交感神経活動を連続測定のためのプローブを慢性的に留置した。実験プロトコールは、1時間のホームケージでの安静、1時間のトレッドミルレーン上での安静、トレッドミルでの30分間(20m/分)の運動、1時間のトレッドミルレーン上での回復、1時間のホームケージでの回復期の5期よりなる。 結果、ラットのトレッドミル運動(20m/min)の運動は、運動後に一過性の動脈圧低下(約10mmHg)を引き起こすことが明らかになった。また、エネルギー産生に利用される糖質・脂質の利用比を示す呼吸商が、運動前の0.82から運度後0.72に有意に低下した。これは、運動後にはエネルギー産生に用いる脂質が優先的に利用されることを意味する。この呼吸商の低下は、運度後2時間持続した。一方、腎交感神経活動も運動終了後2時間、約30%の活動が抑制された。 以上の結果より、ダイナミックな運動は、交感神経系を運動後に中枢性に抑制させると考えられる。この中枢性の交感神経系の低下は、圧受容器反射による動脈圧調節系を修飾し、一過性の動脈圧低下を引き起こしていると推察される。また、運動後の交感神経活動の持続的な低下は、運動後のエネルギー産生に用いる脂質の動員増加に関与していると考えられる。何故、運度後に交感神経活動の抑制が生じるかについては今後検討したい。
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[Publications] Tanaka,S,S.Sagawa,K.Miki,et al.: "Changes in muscle sympathetic nerve activity and renal function during positive-pressure breathing in humnas." Am.J.Physiol. 266. R1220-R1228 (1994)
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[Publications] Miki,K.,Hayashida,Y.,Shiraki,K.20GB02:Bororeflex control of renal sympathetic nerve activity and heart rate are modified during REM sleep in dogs.: Jpn.J.Physiol. 44. s87 (1994)
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[Publications] Miki,K.,Hayashida,Y.,Shiraki,K.20GB03:Acute modification of baroreflex control of renal sympathetic nerve activity during water immersion in conscious dogs.: 2nd International Congress of of Pathophysiology Abstracts. 1. p376 (1994)