1993 Fiscal Year Annual Research Report
脳内ヒスタミンの細胞生物学的コンパートメンテーション
Project/Area Number |
05670090
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大和谷 厚 大阪大学, 医学部, 助教授 (30116123)
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Keywords | ヒスタミン / GABA / 初代培養細胞 / ニューロン / アストログリア / ママト細胞 / サイトカイン / ヒスチジン脱炭酸酵素 |
Research Abstract |
脳内ヒスタミンの役割を考える上で従来から常に問題となってきたのは脳内におけるヒスタミン産生細胞が複数存在するということである.神経細胞,肥満細胞,血管内皮細胞,マイクログリアなど脳内に見い出されるほとんどの全ての細胞にヒスタミン合成能が存在する.ヒスタミンの脳内における多彩な作用から考え,ヒスタミン神経系のみならず,これらの各細胞コンパートメントにおけるヒスタミンが,それぞれどのような動態を示すかは脳内ヒスタミンの病態生理学的役割を知る上でも極めて重要である.そこで各細胞の初代培養系を用いて,各コンパートメント毎のヒスタミン動態の差異を明らかにし,さらに,ヒスタミン神経系において,未だ証明されていないヒスタミンの不活化過程,つまり遊離されたヒスタミンの輸送経路とヒスタミン-N-メチル基転移酵素の細胞局在をこれらの細胞培養系を用いて明らかにすることを目的に本研究を企画した. 初年度の研究によりラット脳内細胞初代培養系によりニューロン,アストログリア細胞の培養を行い,ヒスタミン含量の測定および遊離条件についての基礎的な検討を行った。また,培養細胞系でのヒスタミン動態を脳組織全体と比較するために,視床下部スライスの培養し,サイトカインによるヒスチジン脱炭酸酵素活性の誘導とヒスタミン遊離を検討した.さらに,ヒスタミンニューロンに共存するGABAの遊離動態とその意義についても調べるために,ニューロンの培養系で同時にGABAの遊離を測定した. 本研究では各細胞の初代培養系の確立が基礎となるが,ニューロンおよびグリア細胞については満足できる結果を得られた.
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[Publications] M.Niimi et al.: "Increase of histidine decarboxylase activity in mice hypothalamus after intracerebroventricular administration of lipopolysaccharide." Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.15(8). 509-514 (1993)
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[Publications] A.Horii et al.: "Effect of unilateral vestibular stimulation on histamine release from the hypothalamus of rats in vivo." J.Neurophysiol.70(5). 1822-1826 (1993)
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[Publications] R.K.Tuominen et al.: "Endogenous histamine in cultured bovine adrenal chromaffin cells." Eur.J.Neurosci.5. 1436-1441 (1993)