1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670106
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
竹尾 〓 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (00136722)
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Keywords | マイクロスフェア / 多発梗塞 / 痴呆症 / 脳血流 / アセチルコリン / コリン / グルタメート / アスパルテート |
Research Abstract |
平成5年度の研究成果として、2報を学術誌に掲載することができた。一報は、マイクロスフェア塞栓により発生する脳虚血、および脳梗塞時の局所脳循環障害の経時的変化の観察と、その変化に対する脳循環改善薬ナフチドロフルオキザレートの改善作用を検討したものである(Brit.J.Pharmacol.,印刷中)。マイクロスフェア塞栓後、3、7、28日目の大脳皮質、線条体、海馬の血流量を測定したところ、前二部位の右半球の血流量は低下しいた。薬物投与で大脳皮質はまったく回復しなかったが、線条体の3日目では回復した。一方、海馬の血流量は3日目には低下したものの、7日目以降はコントロール値に戻った。ナフチドロフリルオキザレートはこの低下した3日目の血流量を改善した。以上の結果から、脳循環改善薬とされるナフチドルフリルオキザレートが虚血病態脳で実際に脳血流量を増大させていることを確認した。第二報目では、マイクロスフェア塞栓ラット右大脳半球の皮質、線条体、海馬のアセチルコリン、コリン、グルタミン酸、アスパラギン酸等の変化を検討した(Exp.Brain Res.,印刷中)。マイクロスフェア塞栓後3、5、28日目の各局所部位では、アセチルコリン、グルタミン酸、アスパラギン酸の量は減少し、一方、コリンは増大した。ナフチドロフリルオキザレート投与で、これらの低下した神経伝達物質、特にアセチルコリン、は改善したが、コリンはまったく修飾されなかった。この結果は、ナフチドロフリルオキザレートの脳虚血代謝異常にも改善することを実験的に証明したものである。 以上の二つの報告から、多発脳梗塞病態に類似するこのマイクロスフェア塞栓モデルの病態把握と脳循環改善薬の有効性を実験的に把握することができ、将来の臨床応用に足掛かりとなると期待している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Miyake K.,Takagi N.,Takeo S.: "Effects of Naftidrofuryl Oxalate on Microsphere Embolism-Induced Decrease in Regional Blood Flow of Rat Brain" British Journal of Pharmacology. (印刷中).
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[Publications] Taguchi T.,Takagi N.,Miyake K.,Tanonaka K.,Okada M.,Kajihara H.,Takeo S.: "Effects of Naftidrofuryl Oxalate on Microsphere-induced Changes in Acetylcholine and Amino Acid Content of Rat Brain Regions" Experimental Brain Research. 印刷中.