1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670106
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
竹尾 聰 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (00136722)
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Keywords | マイクロスフェア / 多発梗塞 / 痴呆症 / 線条体 / ドパミン / マイクロダイアリシス / 脳虚血 |
Research Abstract |
本年度の研究計画として申請した計画どうりに、マイクロスフェア塞栓脳梗塞で発生する線条体のドパミンおよびその代謝物(DOPAC,HVA)の生合成および代謝の変化を中心に研究を遂行した。実験結果は以下のとうりである。 先ず、マイクロダイアリシス法にてマイクロスフェア塞栓形成後に発生する線条体からのドパミン遊離を測定した。塞栓形成後40分目にピークを持つドパミン遊離促進が観察された。一方、DOPACやHVAのドパミン代謝物の遊離は塞栓20分後から減少した。この事実はマイクロスフェア塞栓でドパミンは即座に遊離が促進され、かつ、その代謝物はドパミン量減少のために、遊離も抑制されると考えられた。次に、マイクロスフェア塞栓後の長期間の線条体内のドパミンおよびその代謝産物の含量を測定した。ドパミンは術後1日目から減少し、その低下した値は実験期間中持続した。一方、DOPACやHVAは第1日目は増加したものの第3日目からは低下したままであった。さらに、他の実験でドパミンのin vivo代謝速度を測定したところ、1、3日目で抑制されていた。また、ドパミン生合成の律速段階であるin vivoドパミン水酸化反応は3日目で低下していた。 以上の結果は、マイクロスフェア塞栓で線条体のドパミン代謝は著しく低下すること、ドパミン生合成はその代謝より酸素不足に対処出来ることを証明した。本研究は、複雑な脳虚血による組織障害の一つとして線条体のドパミン代謝障害を実証したものであり、今後の脳虚血保護薬を勘案する上で意義深い研究である。目下、本病態に及ぼす脳血管拡張薬の効果とその機序につき、更に、進んだ研究を進める予定である。 尚、本研究の結果は、目下、STROKEに投稿中である。
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Research Products
(1 results)