1994 Fiscal Year Annual Research Report
異常血色素におけるタンパク質の構造変化と機能異常相関
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05670116
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長井 雅子 金沢大学, 医療技術短期大学部, 教授 (60019578)
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Keywords | ヘモグロビン / 紫外共鳴ラマン / 円偏光二色性 / 蛋白質構造 / ヘモグロビンの機能 / 芳香族アミノ酸 |
Research Abstract |
ヘモグロビン(Hb)の四次構造変化、すなわちR(relaxed)→T(tense)転移は、α_1‐β_1とα_1‐β_2のサブユニット接触面のうち、主にα_1‐β_2接触面で起こるといわれている。このα_1‐β_2接触面にアミノ酸変異が起った異常血色素ではHbの協同性が失われることから、この面が重要であることを裏付けている。しかし、個々のアミノ酸が四次構造変化にともなって、どのような状態変化を起こしているかについての知見は非常に乏しい。そこで、1アミノ酸置換により機能異常を起こしている異常血色素、Hb Hirose(β37Trp→Ser)とHb Yakima(β99Asp→His)を用いて、構造変化と機能異常との関係について研究した。 最近レーザー技術の発展により、高繰り返しで安定なUVレーザー光が得られるようになったこと、また弱いラマン線を高感度でキャッチする検出器が開発されたことにより、タンパク質の紫外光励起の共鳴ラマン(UVRR)の測定が可能になった。UVRRでは励起波長を選ぶことによって、アミド結合、Phe、Trp、Tyrなどの状態変化をそれぞれ選択的に解析できる。本研究では235nm励起によるUVRRでHbのR→T転移にともなうTrpとTyrの状態変化を調べた。HbのR→T転移にともないTrpのラマンバンドには主に強度の変化が、Tyrには波数のシフトがみられた。Hb HiroseのUVRRを測定することにより、DeoxyHbA中のβ37Trpのラマンスペクトルを抽出することに初めて成功した。それよりDeoxyHbAにおけるβ37Trpは疎水的環境にあり強い水素結合を形成していることが示唆された。酸素結合にともなってこの状態に変化が起こり、R→T転移にともなう全Trpの変化の70%がこのβ37Trpによることが明らかとなった。Hb Yakimaについては、現在解析を進めているところである。また、Hb Hiroseのタンパク質の構造変化を円偏光二色性(CD)スペクトルにより調べ、機能と構造変化についても考察した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Nagai,S.Kaminaka,Y.Ohba,Y.Nagai,T.Kitagawa: "Ultraviolet resonance Raman studies of quaternary structure of hemoglobin using a tryptophan.β37 mutant." Journal of Biological Chemistry. 270. 1636-1642 (1995)
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[Publications] A.Dong,M.Nagai,Y.Yoneyama,W.S.Caughey: "Determination of the amounts and oxidation states of Hemoglobins M Boston and M Saskatoon in single erythrocytes by IR spectroscopy." Journal of Biological Chemistry. 269. 25365-25368 (1994)
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[Publications] S.Hirota,T.Ogura,K.Ito,M.Nagai,T.Titagawa: "Vibrational assignments of the FeCO unit of CO‐bound heme proteins revisited." Journal of Physical Chemistry. 98. 6652-6660 (1994)
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[Publications] M.Nagai,T.Kitagawa: "Resonance Raman and circular dichroic spectra of Hemoglobin Hirose(β3Trp‐Ser)." Journal of Inorganic Biochemistry. 51. 126 (1993)
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[Publications] T.Kitagawa,Y.Sakan,M.Nagai,M.Ikeda‐Saito: "Time‐resolved resonance Raman studies of recombination intermediates of CO‐dissociated myoglobin,hemoglobins and E7 mutants" Journal of Inorganic Biochemistry. 51. 217 (1993)
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[Publications] T.Lian,B.Locke,T.Kitagawa,M.Nagai,R.M.Hochst: "Determination of Fe‐CO geometry in the subunits of carbon monooxy Hb M Boston using femtosecond infrared spectroscopy." Biochemistry. 32. 5809-5814 (1993)