1993 Fiscal Year Annual Research Report
補体成分C3およびC4の前駆体のプロセシングに関与するプロテアーゼ
Project/Area Number |
05670135
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
織田 公光 新潟大学, 歯学部・口腔生化学, 教授 (10122681)
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Keywords | 補体第3成分 / 補体第4成分 / ゴルジ装置 / 限定加水分解 / プロテアーゼ / 血漿蛋白質 / カルシウム / フユーリン |
Research Abstract |
補体第3成分(C3)は2つのサブユニット(α,β)、第4成分(C4)は3つのサブユニット(α,β,γ)から構成されているが、いずれも元々は高分子量の一本鎖のポリペプチド(前駆体)として合成され、その後細胞内輸送の過程でサブユニットに限定分解されることが知られている。申請者はこれまで、初代培養ラット肝細胞や人肝臓癌由来のHepG2細胞を用いて、これらの補体成分の合成とそのプロセシング、分泌について検討を加え、両前駆体が細胞内輸送経路のゴルジ装置でカルシウムイオン依存性のプロテアーゼにより限定分解を受ける可能性を報告してきた。本年度の研究では、以上のことを踏まえて、ラット肝臓よりゴルジ装置を単離しその分画中に両前駆体を特異的に加水分解するプロテアーゼの検出を試みた。その結果、ゴルジ分画中にC3前駆体を完全にサブユニットに変換するプロテアーゼ活性を認めた。本酵素はカルシウムイオン依存性のプロテアーゼであり、弱酸性から中性にかけての幅広い至適pHを呈し、種々のプロテアーゼ阻害剤に対する反応性から、先ごろそのcDNAがクローニングされたフユーリン(furin)に良く似た性質を示すことが判明した。一方、C4前駆体は同じ条件下に部分的にサブユニットに変換されるだけで、しかもβ,γ鎖は成熟型と同じ分子量を示したが、α鎖はさらに分解を受け、成熟α鎖よりも低い分子量を示した。現在、α鎖の非特異的分解を抑える目的で、様々なプロテアーゼ阻害剤の影響を検討中であり、C4前駆体の変換酵素のin vitroのアッセイ系の確立を目指している。
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