1993 Fiscal Year Annual Research Report
主要組織適合性クラスII抗原の発現調節に及ぼすポリADPR合成酵素の作用機序の解明
Project/Area Number |
05670148
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
谷口 武利 高知医科大学, 実験実習機器センター, 助教授 (90127944)
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Keywords | マクロファージ / ポリADPR / HLA-DR / IFNgamma / Reporter gene / 遺伝子調節 / アンチセンスRNA / Promoter |
Research Abstract |
抗原提示細胞による腫瘍抗原のprocessingと、主要組織適合性抗原(MHC)classII抗原に組み入れられた形での提示は腫瘍に対する免疫応答の誘導の最初のステップである。抗原提示細胞では、classII抗原はinterferon(IFN)gammaにより誘導されるが、この活性化過程で、ポリADPR合成酵素がclassII抗原の遺伝子発現に関与する事実を発見した。こで、IFNgammaによるシグナルが、いかなる形でマクロファージを活性化に導くのか、その過程でポリADPR合成酵素が果す役割を明らかにする目的で以下の研究を行った。 本酵素のアンチセンス発現ベクトルを導入し、本酵素レベルを低下させ、HLA-DRの誘導に及ぼす効果を調べた。アンチセンス発現ベクトルを構築し、THP-1細胞に導入し、transformantを選んだこれらのクローンを用いて、IFNgammaによりHLA-DRを誘導し本酵素の影響を調べたところ本酵素が低下している場合は、いずれの場合も HLA-DRの誘導は促進されていることが判った。以上の結果より、本酵素が低下した場合、MHC classII抗原は誘導されやすくなることが明かとなった。次に本酵素がIFNgamma receptorからのシグナルによりMHC classII抗原が誘導されるまでの過程でどこに作用するか検討した。ヒトHLA-DRalphaでは、DHSがプロモーター域に1カ所、1stイントロンに2カ所報告されていが、マウスI-Abeta遺伝子に関してはまだ報告がない。そこで、classIIを常に発現しているB cell line A-20細胞を用いて実験を行った結果、プロモーター域に1カ所、1stイントロンに2箇所のDNase I hypersensitive site(DHS)を見出した。そこで、マクロファージP388D1細胞及び、本酵素の発現ベクトルを導入したcell clone A-2、B-2につきDHSを調べた。1stイントロン中の上流側DHS2は本酵素が強く発現しているクローンA-2、B-2には、ほとんど検出されなかった。次にこのマウスI-Abetaのプロモーター域から2ndエキソンの一部までをbeta-gal geneと結合し融合蛋白が出来るreporter geneを構築した。このreporter geneはP388D1細胞中で発現し、本酵素が強く発現しているクローンA-2、B-2中では、対照の約8分の1に抑制されていることが判った。従って、本酵素は何らかの形でDHSに関与しclassII抗原の発現抑制に関与しているのではないかと思われる。
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[Publications] Taniguchi,T.,Nemoto,Y.,Ota,K.,Imai,T.& Tobari,J.: "Participation of poly (ADP-ribose) synthetase in the process of norepinephrineinduced inhibition of MHC class II antigen expression in astrocytoma cells." Biochem. Biophys. Res. Commun.193. 886-889 (1993)
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[Publications] Ou,Z.,Fujimoto,S. and Taniguchi,T.: "Enhancement of IFNgamma-induced MHCclassII gene expression by expressing an antisense RNA 0f poly(ADP-ribose) synthetase." J.Boil.Chem.(in press). (1994)