1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト骨軟部腫瘍の病理組織学的悪性度とATPase、染色体分析及び腫瘍関連遺伝子
Project/Area Number |
05670163
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
町並 睦生 東京大学, 医学部(医), 教授 (30010052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 雅彦 東京大学, 医学部, 助手 (80251304)
森 正也 東京大学, 医学部, 助手 (90210137)
堀内 啓 東京大学, 医学部, 助手 (10190240)
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Keywords | 骨軟部腫瘍 / 組織学的悪性度 / ATPase / 染色体分析 / 腫瘍関連遺伝子 / 免疫組織化学 / 分子生物学 / フローサイトメトリー |
Research Abstract |
傍骨性骨肉腫2例を含む骨肉腫44例を組織学的悪性度1度から4度に分類し、比較のために線維性骨異形成3例及び骨巨細胞腫3例を用い、AgNORsのdots数及び面積を画像解析装置で計測し、flow cytometry(FCM)によるDNA ploidy及びDNA indexの計測も併せて行った。AgNORs染色では、dots数とトdotsの平均面積は、悪性群相互の間及び悪性群と良性群の間に有意差が見られた。DNA ploidyはG4・G3とG1及び悪性群と良性群の間に有意差が認められた。従って病理組織学的悪性度分類は、AgNORs染色陽性dotsの画像解析及びFCMによるDNA ploidy並びにDNA indexと相関性があり妥当な分類であると考えられる。骨肉腫と診断され切除された17例における細胞増殖能を示すki-67と、癌抑制遺伝子産物のp53蛋白を免疫組織化学的に検索し、その結果を肺転移及び予後と比較したところ、予後とki-67陽性率の間、予後とp53蛋白発現との間、p53蛋白発現とki-67陽性率との間、肺転移の有無とki-67陽性率との間、及び肺転移の有無とp53蛋白発現との間には明らかな相関は認められなかった。一方、p53蛋白発現の陽性率が高いものほどki-67陽性率が高い傾向があり、肺転移のある場合予後不良であるという結果が得られた。粘液型脂肪肉腫は、染色体異常としてt(12;16)転座を有し、転座切断点領域の分子機構の解析によるTLS-CHOPのキメラ遺伝子が形成されていることが報告されている。8例の粘液型脂肪肉腫について、RT-PCR法を用いて、このTLS-CHOPキメラ遺伝子を検索したところ、8例中7例に陽性所見を得たが、1例の多形型脂肪肉腫と3例の粘液型悪性線維性組織球腫(粘液型MFH)では陰性であった。従って、t(12;16)転座を有する粘液型脂肪肉腫の診断及び粘液型MFHとの鑑別にはキメラ遺伝子の検索が有用であることが示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 鹿島健司,堀内啓,町並陸生他: "骨肉腫における増殖能の免疫組織化学的検討" 日本整形外科学会誌. 68. S957 (1994)
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[Publications] 菅原修,町並陸生: "肺転移を生じた骨内分化型骨肉腫の増殖因子及びp53遺伝子の発現ならびにDNA ploidyの測定" 日本整形外科学会誌. 68. S956 (1994)
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[Publications] 黒田雅彦,堀内啓,町並陸生他: "粘液型脂肪肉腫におけるTLS-CHOP遺伝子の解析" 日本癌学会総会記事. 85. 553 (1994)
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[Publications] 蛭田啓之,町並陸生他: "骨肉腫における術前化学療法の組織学的効果判定と予後との相関性について" 臨床整形外科. 29. 1221-1229 (1994)
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[Publications] 前川傑,堀内啓,町並陸生他: "画像解析、AgNORs染色およびフローサイトメトリーを用いた骨肉腫の組織学的悪性度に関する研究" 日本病理学会会誌. 83. 260 (1994)
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[Publications] 堀内啓,黒田雅彦,町並陸生: "骨巨細胞腫瘍に対するモノクローナル抗体と類上皮細胞、各種多核巨細胞の反応性" 日本整形外科学会誌. 68. S1087 (1994)