1995 Fiscal Year Annual Research Report
角化細胞の細胞増殖抑制因子の精製と遺伝子クローニング
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05670187
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
能勢 眞人 東北大学, 医学部, 助教授 (70030913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 光保 (財)癌研究会, 癌研究所生化学部, 研究員 (20194855)
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Keywords | 増殖抑制因子 / 自己分泌 / 角化細胞 / 組織形成 / 腫瘍 |
Research Abstract |
角化細胞の自己分泌増殖抑制因子として、昨年度までにβ型トランスフォーミング増殖因子(transforming growth factor-β : TGF-β)とインスリン様増殖因子結合タンパク-6(insulin-like growth factor binding protein-6 : IGFBP-6)を同定していたが、本年これら二つの因子とは異なった活性分子を精製した。この分子の増殖抑制活性には細胞特異性があり、角化細胞株HaCatやBalb/MKには増殖抑制活性を示すが、繊維芽細胞や血管内皮細胞の増殖は抑制しない。また、これまで調べた扁平上皮癌細胞株は、いずれもこの因子に対する反応性が低下していた。この分子は酸性領域では比較的安定であるが中性ないしアルカリ領域では不安定な複合分子で塩濃度の上昇によっても失活することが判明している。現在、この分子の構造決定を行っている。 一方、既に増殖抑制因子として作用することが知られているTGF‐βについては腫瘍細胞におけるレセプター異常の有無について検討した。角化細胞に由来する扁平上皮癌では、検討した15細胞株すべてにおいてTGF-βに対する反応性の低下が見られ、このうち2株にレセプター発現の消失が見られたが、全体としてはレセプターの発現量が増加しているもののほうが多く、家族性非腺腫症性大腸癌におけるような一定の傾向は見られなかった。さらに、胃癌、前立腺癌、神経膠腫、Tリンパ白血病細胞でもTGF-βレセプター異常の有無を検討し、いずれの系においてもTGF-βレセプターの量あるいは質的異常が細胞の腫瘍化や腫瘍の悪性化に伴って生じていた。しかし、これらの腫瘍においてもTGF-βに対する反応性が低下するという共通の現象を生じている分子病理発生は多様であることが示唆された。現在、TGF-βに対する反応性の消失と細胞の腫瘍化の因果関係についても検討を進めている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kato, M.: "A human keratinocyte cell line prociu two autocrine growth inhibitons, transforming growth faitor-β and insulin-like growth factor binding protein-6" J. Biol, Chem,. 270. 12373-12379 (1995)
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[Publications] Yamada, N.: "Enhenced expression of transforming growth factor-β and its type-1 and type-II receptors in human gliona." Int, J. Cancer. 62. 386-392 (1995)
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[Publications] Kim, I. Y.: "Genetic change in transforming growth factor-β(TGF-β)receptor type I gene correlates with insengitivity to TGF-β1 in human" Cancer Res.56. 44-48 (1996)
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[Publications] Ono, M.: "Allelic difference in the nucleotide sequeule of the Eta-1/Op gene trans cript" Mol, Immunol.32. 447-448 (1995)