1993 Fiscal Year Annual Research Report
炎症の導入期メディエーターの阻害による炎症の治療の試み
Project/Area Number |
05670199
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大河原 進 熊本大学, 医学部, 助手 (10094088)
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Keywords | 炎症 / エンドトキシン / 尿酸結晶 / IL-1 / TNF / IL-1ra |
Research Abstract |
炎症反応は刺激の種類の異なった場合には、反応の展開に若干の変異を示すが、この違いは炎症を構成する各要素の発現の強さの違いによるところが大きく、炎症反応の基本構造は保たれている。したがって、炎症の基本構造を開始するシグナルが存在することが考えられるが、現状では明瞭でない。このプロジェクとでは3種の異なる炎症刺激を用い、これらの開始に共通で重要なメディエーターを探ることを計画した。本年度は、定量的な取り扱いが容易なウサギ膝関節炎を尿酸結晶、大腸菌エンドトキシン、黄色ブドウ球菌を起こし、その初期のメディエーターと考えられる、IL-1betaおよびTNFalphaの発現と産生の動態を検索し、いずれの炎症においてもTNFalphaの産生は炎症2時間をピークとする早い時期に見られた。IL-1betaの産生はLPS炎症では、6時間をピークとする単相性の産生が見られた。他方、尿酸結晶関節炎では炎症2時間目と、9時間目をピークとする2峰性の産生をみとめ、LPS炎症の場合と異なっていた。しかも、この炎症のIL-1beta産生量はLPSの場合よりも若干多かった。このようなIL-1betaの2峰性産生に伴い、IL-1betaの抑制因子であるIL-1raの産生も炎症9時間と、24時間をピークとする2峰性産生を示し、IL-1betaの2峰性産生に対応するものであった。黄色ブドウ球菌による関節炎では、早期のTNFalpha産生と、遅延し24時間以降も存在するIL-1betaの産生をみた。本年度の観察から黄色ブドウ球菌炎症は炎症導入期のメディエーターの観察に不向きであることが判明し、LPS炎症と尿酸結晶炎症は導入期のサイトカイン産生パターンに顕著な違いをみることが明かとなり、次年度からこの2種類の炎症を比較し、その開始のメディエーター機構をさぐるよいモデルとなると考えられた。
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[Publications] Matsukawa,A.: "Production of IL-1 and IL-1 receptor antagonist and the pathological significance in lipopolysacoharide-induced arthritis in rabbits" Clinical and Experimental Immunology. 93. 206-211 (1993)
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[Publications] Mari,S.: "Dynamic change in mRNA expression of neutrophils during the course of acute inflammation in rabbits" International Immunology. 6. 149-156 (1994)
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[Publications] Matsukawa,A.: "Dvelopment of neutralizing monoclonal antibody against rabbit IL-1 receptor antagonist and utilization for ELISA and measurement of masked IL-1 activity" Immunological Investigations. 印刷中. (1994)
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[Publications] Matsukawa,A.: "Intractable Vasculitis (分担)" Hokkaido University Press, 8 (1993)
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[Publications] 大河原 進: "分子病理学(分担)" 文光堂, 7 (1993)