1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト子宮内膜及び子宮内膜癌のstromelysin3の発現調節
Project/Area Number |
05670204
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Research Institution | SAPPORO MEDICAL UNIVERSITY SCHOOL of MEDICINE |
Principal Investigator |
澤田 典均 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (30154149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 淳夫 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90208538)
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Keywords | stromelysin3 / ヒト子宮内膜 / 性周期 / プロゲステロン / 上皮間質相互作用 |
Research Abstract |
Stromelysin3(ST-3)は、乳癌組織からinvasionに関与するmetalloproteaseとして発見された。しかし、ST-3は乳癌細胞から直接分泌されるのではなく、乳癌細胞から分泌される因子によって癌細胞周辺の線維芽細胞中に誘導され分泌されている。正常ヒト細胞では、ST-3は、子宮内膜、胎盤に発現されているが、発現の制御機構については全く不明であった。本研究では、ヒト子宮内膜組織やそれから単離した上皮細胞や間質細胞を用いて、ST-3が性ホルモン依存性に、特にプロゲステロンにより調節されていることが明らかになった。 本年度はこのような癌細胞と周囲の正常な間質細胞の相互作用が、子宮内膜癌においても認められるかどうかを検討するため、培養子宮内膜癌細胞の培養上清や、いくつかの増殖制御因子を培養間質細胞に作用させ、ST-3の発現に及ぼす影響を検討した。 用いた細胞は、高分子型腺癌Ishikawa株、中分化型腺癌SNG株で、これらの細胞の培養上清を培養子宮内膜間質細胞に作用させ、ST-3の発現をnorthern blot analysisを用いて検討した。結果は予想に反して、ST-3の発現は、子宮内膜癌細胞の培養上清の添加によりST-3の発現はむしろ低下した。さらに、FGF、EGF、TGF-βを培養子宮間質細胞に作用させたが、いずれの因子もST-3の発現を上昇させなかった。さらに3例の子宮内膜癌組織を用いて、in situ hybridizationを行ったが、有意な発現上昇は確認できなかった。しかし、in situ hybridizationの結果については、固定法や固定するまでの時間などの条件にばらつきがあることやsamplingの問題があり、この点は今後の課題となった。
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