1993 Fiscal Year Annual Research Report
レトロウィルス感染と自己免疫疾患の相関に関する分子免疫学的研究
Project/Area Number |
05670208
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
広瀬 幸子 順天堂大学, 医学部, 助教授 (00127127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇屋 緑 順天堂大学, 医学部, 助手 (00220848)
野口 一雄 順天堂大学, 医学部, 助手 (10208316)
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / New Zealandマウス / 抗gp70抗体 / レトロウイルス / 抗DNA抗体 / 抗ヒストン抗体 / 抗体遺伝子可変領域 |
Research Abstract |
全身性エリテマトーデス(SLE)のモデルマウス系であるNew Zealandマウスにおいても、ヒトの場合と同様にSLEを特徴づける抗DNA抗体や抗ヒストン抗体応答が認められる。我々は、この自己抗体応答が、このマウスに内在感染するC型レトロウイルスの粒子膜抗原gp70に対する抗体応答と密接に相関していることを遺伝学的に明らかにしてきた。しかも、発症するループス腎炎の糸球体や血管炎の血管壁にはgp70抗gp70免疫複合体の沈着が証明され、レトロウイルス感染がこのマウス系のSLE病態発症に関与している可能性が強く示唆されている。New Zealandマウスには生後早期から血中にgp70が大量に発現されているので、病態発症は加令にともない産生されてくる抗gp70抗体に依存した現象と考えられる。 抗ウイルス抗体応答と自己抗体応答とがなぜ相関して生じるのか、抗ウイルス抗体応答がSLE発症に実際に関与しているのか否かの点を解析する目的で、既にSLEを発症したNew Zealandマウスからモノクローナル抗gp70抗体ならびに抗DNA抗体、抗ヒストン抗体を産生する多数のハイブリドーマ株を作製した。これらの抗体の抗体遺伝子可変領域の塩基配列を決定したところ、抗gp70抗体、抗DNA抗体および抗ヒストン抗体を産生しているB細胞は、いずれもクローン性に増殖していることが明かとなった。得られた4個のモノクローナル抗gp70抗体についてその反応エピトープを解析したところ、一個はgp70抗原のN末と、残りの3個はC末と結合することが明かとなった。病態発症に関与する特定のgp70抗原エピトープが存在するのか否か、クローン性に増殖している抗gp70抗体産生B細胞が抗DNA抗体や抗ヒストン抗体などの自己抗体産生B細胞クローンとどのような関係にあるのか、等の点について現在解析を進めている。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kanno,K.et al.: "Differential sensitivity to interleukins of CD5^+ and CD5^- anti-DNA antibody-producing B cells in murine Jupus" Autoimmunity. 14. 205-214 (1993)
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[Publications] Ckamoto,H.et al: "H-2^Z homozygous New Zealand mice as a model for B-cell chronic lymphocytic leukemia:elevated bcl-2 expression in CD5 B cells at premalignant stages" Jpn.J.Cancer Res.84. 1273-1278 (1993)
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[Publications] Hirose,S.et al.: "Somatic diversification and affinity maturation of IgM and IgG anti-DNA antibodies in murine lupus" Eur.J.Immunol.23. 2813-2820 (1993)
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[Publications] Kimoto,M.et al.: "MHC heterozygosity and autoimmunity" Immunol.Today. 14. 569-570 (1993)
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[Publications] Hirose,S.,et al.: "The E-linked subregion of the major histocompatibility complex down-regulate autoimmunity in NZB x NZW F1 mice" Immunogenetics. (in press).
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[Publications] 広瀬幸子: "Lupus腎炎と抗DNA抗体" 日本腎臓学会誌. XXXV. 39-39 (1993)
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[Publications] 広瀬幸子: "自己免疫とトレランス" 中外医学社, 11 (1993)
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[Publications] 広瀬幸子: "疾患別)モデル動物の作製と新薬開発のための試験・実験法" 技術情報協会, 7 (1993)