1993 Fiscal Year Annual Research Report
胸腺の成長制御に果たす胸腺腫由来成長因子(MGFF)の役割
Project/Area Number |
05670217
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
増田 彰 愛知県がんセンター, 超微形態学部, 主任研究員 (50157202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 祥司 愛知県がんセンター, 共通実験室, 研究員 (20193104)
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Keywords | 胸腺 / 胸腺腫 / 上皮細胞 / マクロファージ / サイトカイン |
Research Abstract |
BUF/Mna系ラットの胸腺腫の腫大や正常胸腺の成長に重要な役割を果たしている可能性のある因子として胸腺マクロファージの増殖・融合を促進する因子(MGFF)の存在が示唆された。本年度は(1)MGFFのアッセイ系の確立し(2)分離・精製することによって(3)部分的な構造決定や(4)生物学的な性質を検討することを目指した。 (1)5週令SDラットの胸腺細胞を,コンディションド・メディウムや部分精製MGFFと4日間培養し、最後の16時間^3H-チミジンラベルし、付着細胞に取り込まれたアイソトープを測定することによってMGFF活性が感度良く簡便に測定できた。 (2)胸腺腫上皮細胞株TaD-1-3の培養上清からゲルろ過、イオン交換カラム、RCAレクチンカラム、逆相カラムによってMGFFの部分精製品を得た。この部分精製品はSDS-PAGEによって数本のバンドに分かれるのでさらに1、2段階の精製が必要である。 精製が不十分なので、構造決定は平成6年度に行う。 (4)部分精製MGFFを用いて生物学的な性質を検討した。MGFFは付着マクロファージへの^3H-チミジンの取り込みを強く促進するが、CSF活性はほとんど持っていなかった。骨髄細胞、脾臓細胞の中にもMGFFに反応する細胞が存在した。MGFFに対する反応性は退縮した老齢のラットの胸腺細胞では著しく低下していたが、BUF/Mnaラットの胸腺腫の胸腺細胞では若干のラットの胸腺細胞と同程度に維持されていた。MGFFは99℃、5分間の処理によって完全に失活するが、トリプシンには非感受性であった。既知のサイトカインに対応するものは見つからず新しい活性物質であることが示唆された。
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