1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670219
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
阿部 達也 秋田大学, 医学部, 助教授 (80128363)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 博子 (菅谷 博子) 秋田大学, 医学部, 助手 (30235626)
吉村 堅太郎 秋田大学, 医学部, 教授 (90053058)
|
Keywords | 粘膜肥満細胞 / IL-3 / サイトカイン / 腸管免疫 / 感染防御 / Strongyloides ratti / モノクローナル抗体 / マウス |
Research Abstract |
本年度の予定であったIL-3cDNAを組み込んだX63BMG細胞を大量培養し、上清からrIL-3を得ること、マウス骨髄細胞をrIL-3と共にin vitroで培養し、純粋な粘膜型肥満細胞を得ること、この培養肥満細胞でラットを免疫して、その脾細胞をマウス由来X63.653細胞と融合し、ハイブリドーマを形成することは当初の計画どうり進行した。培養肥満細胞のホモゲネートを抗原として用いるELISAと、IL-3依存性細胞FDC-P2の増殖抑制効果を指標にしてスクリーニングし、7つのモノクローナル抗体産生クローンを選択した。しかし、モノクローナル抗体のスクリーニングにおいて初め陽性であったクローンを増殖させ、大量の上清から抗体を集めた後に再び活性を測定すると、活性が認められないことがたびたび生じた。これは、われわれが用いたものがラット・マウスのハイブリドーマであることが原因で、ハイブリドーマが不安定なために増殖継代を続けるうちに抗体産生を停止するためかもしれない。この問題は、ラット・ラットのハイブリドーマを用いることにより解決可能と思われるが、現状ではラット由来の癌性細胞株を所持せず、早期解決は難しい。十分に納得できるモノクローナル抗体を選択することが難しい状況の中で、ELISA反応の最も強いクローンIC2の抗体8mg(4mg×2回)を糞線虫感染マウスに腹腔投与し、腸管成虫回収数と粘膜肥満細胞数を調べたが、抗体投与による変化は見られなかった。 最近になって、マウスの腸管粘膜肥満細胞の顆粒中に発現されるプロテアーゼと骨髄由来の培養肥満細胞に発現されるプロテアーゼには違いがあることが報告された。このことは両者に機能的な違いがある可能性を示唆し、骨髄由来培養肥満細胞に対するモノクローナル抗体を使ってin vivo効果を調べる妥当性に疑問が生じてきた。したがって、当初予定した骨髄由来培養肥満細胞とIL-3レセプターに対するモノクローナル抗体の作製には未解決の問題が多く、短期間に研究を終了することは難しいと判断した。そこで、モノクローナル抗体作製に関する部分をとりあえず中止し、生体内でのIL-3の作用と粘膜肥満細胞の分化増殖機構を解明することに重点をおくこととした。そこで、rIL-3をマウスに繰り返し投与すると腸管粘膜肥満細胞が顕著に増加し、メディエーターを遊離し、糞線虫に対する防御が起きることが確認された。
|
Research Products
(1 results)