1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670224
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Research Institution | MIE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松岡 裕之 三重大学, 医学部, 講師 (10173816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 淳 三重大学, 工学部, 助手 (70242930)
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Keywords | 蛋白工学 / ワクチン / マラリア / バキュロウイルス |
Research Abstract |
ネズミマラリアの一種Plasmodium bergheiをモデルとして、マウスから蚊へのマラリア伝播に際して重要な役割を果たしているオオキネート表面の一分子(以下Pbs21と略す)をとらえ、組み換え蛋白をつくってマラリア伝播阻止ワクチンとしての有用性を検討した。原虫由来のPbs21がマラリア伝播阻止ワクチンとして働くことはすでに知られており、cDNAもとれてアミノ酸配列もわかっている。大腸菌にこのPbs21の蛋白を発現させ一次構造の相同な組み換え蛋白をワクチンとして用いたところ、一定の伝播阻止効果は得られたものの、ワクチンとしての十分な効果は得られなかった。本研究では、さらにオオキネート由来のPbs21と三次構造までも相同な組み換え蛋白を得るために、バキュロウイルスをベクターとしてもちいた。Pbs21のcDNAを組み込んだリコンビナント・バキュロウイルスを作製しクローン化した。これをカイコに注射して大量の組み換え蛋白(rPbs21)を得、精製してマウスに免疫し、ワクチンとしての有用性を検討した。 結果として、 1.リコンビナイト・バキュロウイルスを注射することにより、カイコはrPbs21を大量に合成した。収量はカイコ一匹あたり50μgであった。 2.得られたrPbs21を精製してマウスに免疫したところ、マウスは抗rPbs21のみならず、抗Pbs21をも産生した。このことは、培養したP.bergheiのookinete を用いたWestern blottingや蛍光抗体法により確認した。 抗体価の上昇したマウスにP.berghei 5×10^6ケを腹腔注射し、3日後にハマダラカに吸血させた。吸血後12日後にハマダラカを解剖し、中腸に形成されたオオシストの数をかぞえ、対照と比較したところrPbs21で免疫されたマウスを吸血した蚊の中腸にはほとんどoocystの形成をみとめなかった。 4.以上より、大腸菌の産生した組み換え蛋白よりもバキュロウイルス系により産生された組み換え蛋白のほうが免疫源として有用であることが認められた。
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