1993 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯熱マラリア原虫の陽イオン輸送性ATPase遺伝子群の分子クローニング
Project/Area Number |
05670236
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
木村 政継 大阪市立大学, 医学部, 助手 (60195378)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 和裄 大阪工業大学, 教授 (40047410)
|
Keywords | ATPase / P-type ATPase / クローニング / P.yoelii / マラリア原虫 / 遺伝子 / 分子生物学 |
Research Abstract |
マラリア原虫の陽イオン輸送を遺伝子レベルで調べるため、P-type ATPaseの遺伝子のクローニングを試みた。ネズミマラリア原虫(P.yoelii)のCa^<2+>-ATPase遺伝子断片をブロープとして、P.yoeliiのゲノム(EcoR1消化)DNAダイブラリーをスクリーニングしてクローン、YR1(3.6kb)を得た。その塩基配列を決定して、得られたアミノ酸配列のホモロジー検索を行ったところ、P-type ATPaseとホモロジーが高く、YR1はCa^<2+>-ATPaseとは異なる陽イオン輸送性ATPase(X-ATPaseと仮称)遺伝子の断片であると推定された。 YR1をプローブとしてP.yoeliiのゲノム(Hind3消化)DNAライブラリーをスクリーニングして3.8kbのクローン、YH5を得た。ゲノムDNAのサザンハイブリダイゼーションの結果から、補間的なライブラリーとしてHind3/Pst1の二重消化ライブラリーとEcoR1/Sca1の二重消化ライブラリーを作成した。これらから、それぞれYHP22とYSR4のクローンを得た。これら4つのクローンで全長約15kbあり、遺伝子の全長を十分カバーしている。 さらに、現在までに次のことが明らかになっている。 1.YR1の全長とYH5の計約5.3kbのシークエンスを決定した。これはすべてオープンリーデイングフレームで、P-type ATPase間で保存されている6カ所の配列部全てで相同性が高く、P-type ATPaseに間違いない。 2.ノーザンハイブリダイゼーションによりこの遺伝子が発現していることを見た。 3.cDNAの部分的な配列の決定からイントロンが1カ所存在することを確かめた。 なお、熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)の同種遺伝子は、S.Krishnaらによって、遺伝子断片がクローニングされた(1993)ので、P.yoeliiの全遺伝子を決定することとしたものである。
|