1994 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア感染防御におけるTリンパ球とサイトカインの役割
Project/Area Number |
05670237
|
Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
小林 富美恵 杏林大学, 医学部, 助手 (20118889)
|
Keywords | マラリア / サイトカイン / Tリンパ球 / IL-10 / IFN-γ / Plasmodium yoelii / 強毒株 / 弱毒株 |
Research Abstract |
マラリア感染に伴うヘルパーT細胞サブセットの応答についてサイトカインの産生を指標として調べ、マウスにおけるPlasmodium yoelii 17X感染では、IFN-γ応答は弱毒株感染のみならず強毒株感染にも認められること、IL-10応答は強毒株感染にのみ認められることなどを明らかにしてきた。これらは、感染初期のTh2応答がマラリアにおける増悪、致死性に関与することを初めて示唆する興味深い結果であった。そこでP.yoelii感染におけるTh1,Th2由来サイトカイン応答をさらに詳細に検討するため、本原虫の強毒株(PyL)をC57BL/6マウスに接種し、感染後経日的に採取した脾細胞をマラリア原虫抗原で刺激した後そのサイトカイン応答を調べた。その結果、強毒株感染後のTh1応答(IFN-γ産生を指標として)とTh2応答(IL-10産生を指標として)のpeakの時期に差は認められないことが明らかとなった。これは、他の原虫感染などに認められるTh1-Th2のcross-regulationとは異なる応答と経過を、宿主が本種感染に対してとることを示唆している。IL-2、IL-4およびIL-5応答については、いずれもこの系では、有意な産生は認められず、これら2つのサイトカインが主要なものであると考えられた。次に、強毒株感染において強い応答が認められるIFN-γとIL-10の意義について明らかにするため、抗IFN-γ抗体投与と抗IL-10抗体投与の感染経過に及ぼす影響について検討したところ、抗IFN-γ抗体投与によってマウスの死亡開始日が早まること、抗IL-10抗体投与によって半数以上のマウスが治癒することが明らかとなった。これらより、本原虫感染では、Th1サイトカインであるIFN-γが防御に、Th2サイトカインであるIL-10が増悪に関与すると考えられた。
|