1995 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア感染防御におけるTリンパ球とサイトカインの役割
Project/Area Number |
05670237
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
小林 富美恵 杏林大学, 医学部, 助手 (20118889)
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Keywords | Malaria / Cytokine / T-lymphocyte / IL-10 / IFN-γ / Plasmodium yoelii / Lethal variant / Nonlethal variant |
Research Abstract |
1.Plasmodium yoelii 17X感染の強毒株感染と弱毒株感染における宿主ヘルパーT細胞サブセットの応答についてサイトカインの産生を指標として調べ,弱毒株感染ではTh1応答しか認められないのに対し、強毒株感染ではTh1応答とTh2応答の両方が認められること、即ち、感染初期のTh2応答がマラリアにおける増悪、致死性に関与することなどを明らかにしてきた.本感染におけるTh1サイトカイン、Th2サイトカインとして主要なIFN-γとIL-10の役割について明らかにするため、抗IFN-γ抗体投与と抗IL-10抗体投与が強毒株感染経過に及ぼす影響について検討したところ、抗IFN-γ抗体投与によってマウスの死亡開始日が始まり、抗IL-10抗体投与によって半数以上のマウスが治癒した。さらに、脾細胞によるin vitro NO産生は、抗IFN-γ抗体により抑制され抗IL-10抗体により増大した。これらのことから、本原虫感染では、Th1サイトカインであるIFN-γが防御に、Th2サイトカインであるIL-10が増悪に関与すると考えられた。しかし、これら拮抗するサイトカインの役割とその機序を詳細に検討するには、強毒株感染では症状の進展が急速でありすぎたため、異なる感染免疫応答モデルを開発することとした. 2.Plasmodium bergheiの弱毒株をCBAマウスに感染させると一過性の原虫血症を示した後、自然治癒する。感染マウス脾細胞のサイトカイン産生量を経時的に調べると、IFN-γ,TNF-α,IL-4,IL-10などが感染初期に産生されることが明らかとなった。そこで、本原虫感染におけるTh1サイトカイン依存性の防御系にTh2サイトカインが何らかの影響を与えているか否かについて上記と同様の方法で検討したところ、本原虫感染における防御系をIL-10が制御していることが明らかとなった。本原虫感染はその感染動態が緩慢であることから、今後、これら免疫応答の詳細な機序の解明に用いられ得ると考えられた.
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