1994 Fiscal Year Annual Research Report
リーシュマニアの薬剤耐性の分子機構と薬剤耐性遺伝子の解析
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05670243
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
片倉 賢 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10130155)
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Keywords | リーシュマニア / 薬剤耐性 / P-糖タンパク質 / PCR法 / 多重遺伝子 / DNA / 原虫 |
Research Abstract |
リーシュマニアの薬剤耐性の分子機構において、P-糖タンパク質遺伝子は、薬剤耐性遺伝子として中心的役割を果たしていることが明らかになってきた。しかしP-糖タンパク質遺伝子は多重遺伝子であるため、リーシュマニアでは種に応じて、機能の異なるP-糖タンパク質遺伝子が存在するものと考えられる。リーシュマニアには少なくとも5つのP-糖タンパク質遺伝子が存在するといわれており、これまでに2つの異なるタイプのP-糖タンパク質遺伝子が単離されている。平成5年度の研究によって、Leishmania amazonensisのP-糖タンパク質遺伝子の一部と推定される2つのDNA断片を、PCR法によって分離し、クローン化することができた。アミノ酸のホモロジー検索の結果、一つのクローンは、既知のL.donovaniのP-糖タンパク質遺伝子(Ldmdr1)と97%の相同性を示した。他のクローンは、Ldmdr1と68%しか一致せず、また、L.tarentolaeのP-糖タンパク質遺伝子であるLtpgpAとは37%の相同性しか示さなかったため、新しいタイプのP-糖タンパク質遺伝子の一部であるものと考えられた。そこで、この遺伝子の全長をクローニングすることを目的として、L.amazonensisのゲノムライブラリーをlambda GEM-11を用いて作製した。上記のDNA断片をプローブとして、ライブラリーをスクリーニングし、得られた陽性クローンをSacIで切断の後、pBluescriptおよびpUC19にサブクローニングした。このうち、1005塩基対のSacI断片については塩基配列を決定した。目的の遺伝子の大きさは4kbを越えるものと推定されるため、現在残りのDNA断片の塩基配列について検討を行っている。今後は、この遺伝子と薬剤耐性との関係を明かにしていく予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Katakura,K.: "Karyotype similarity of Leishmania isolates from patients,sandflies,and a domestic dog,identifying the major L. (L.) mexicana strain as an agent of cutaneous leishmaniasis in the Ecuadorian Andes." Studies on New World leishmaniasis and its transmission,with particular reference to Ecuador. 4. 4-8 (1994)
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[Publications] Katakura,K.: "Evaluation of Glucantime (Meglumine Antimonate) lots in anti-Leishmania promastigote activity in vitro." Studies on New World leishmaniasis and its transmission,with particular reference to Ecuador.4. 30-33 (1994)
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[Publications] 大友弘士: "免疫検査実践マニュアルVIII感染症5.原虫疾患" 検査と技術. 22. 312-314 (1994)
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[Publications] 大友弘士: "微生物のVIRULENCE原虫" Clinical Infection and Chemotherapy. 1. 38-41 (1995)
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[Publications] 片倉賢: "リーシュマニア症の薬物療法とリーシュマニアの薬剤耐性" メディアサークル. (印刷中). (1995)