1994 Fiscal Year Annual Research Report
腸炎ビブリオにおける新規シデロフォアを介する鉄獲得系の病原学的研究
Project/Area Number |
05670257
|
Research Institution | Okayama University, Faculty of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
山本 重雄 岡山大学, 薬学部, 助教授 (40033229)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 純男 岡山大学, 薬学部, 教授 (50029782)
|
Keywords | 腸炎ビブリオ / 鉄獲得 / 外膜レセプター / シデロフォア / ヘミン利用性 / ヘミンレセプター / 病原因子 |
Research Abstract |
1.Vibrioferrin-鉄(VF-Fe)に対する外膜レセプターの同定 腸炎ビブリオは一般に鉄欠乏下に培養すると二種の外膜蛋白(78 kDa,83kDa)を発現した。これらの外膜蛋白を含む粗外膜画分をVF-^<55>Fe とインキュベートし,可溶化-native PAGE 後,ラジオオートグラフィーで分析したところ,単一のラジオアクティブなバンドが検出された。この蛋白はVF-^<55>Fe のレセプター蛋白と考えられ,上述の鉄欠乏下に発現する78 kDaであることがSDS-PAGE分析で示された。そこで,本蛋白をSDS-PAGEによって精製し,これに対する家兎抗血清を作成し,腸炎ビブリオ及びその他の病原ビブリオについてVF-Fe レセプターの分布を調べた。腸炎ビブリオでは検討した全ての株で本抗体と反応するバンドが検出され,抗原性においても,また分子量的にも高度に保存されていることが判明した。本抗体はVF-^<55>Feと結合した78 kDa蛋白と特異的に反応したが,VF-^<55>Feの78 kDa蛋白への結合は阻止できなかった。SDS によって78 kDa蛋白におけるVF-Fe結合ドメインのコンホメーションが変化したためであろう。興味深いことに,V.alginolyticusのいくつかの株においても本抗体と交互反応するバンド(78 kDa)が認められ,これらの株ではVFの産生が認められた。 2.腸炎ビブリオによる鉄源としてのヘミンの利用性とヘミン結合性外膜蛋白の同定 ヘミンまたはヘモグロビンを唯一の鉄源として加えると増殖の促進が認められた。即ち,腸炎ビブリオはシデロフォアを介する鉄獲得系の他に,ヘミンも鉄源として利用できることが判明した。ヘミン利用はヘミン結合性外膜蛋白(レセプター)を介して行われることがV.cholerae やYersinia enterocoleticaにおいて最近明らかにされた。そこで,腸炎ビブリオについても検討したところ,上述の鉄欠乏下に発現する83 kDa外膜蛋白がヘミン-アガロース法で単離され,ヘミンレセプターの可能性が示唆された。更に,患者由来株は環境由来株と比較してヘミン利用性が高いことが判明した。 3.現在,上記二種の外膜レセプター欠損株を作成中である。これらの欠損株を用いて,病原性発現への鉄獲得系の寄与をin vivo で解析するとともに,関連遺伝子の鉄制御機構を分子遺伝学的手法で解明する予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] S.Yamamoto: "Structure and Iron Transport Activity of Vibrioferrin,a New Siderophore of Vibrio parahaemolyticus" Journal of Biochemistry. 115. 868-874 (1994)
-
[Publications] S.Yamamoto: "Siderophore-Mediated Utilization of Iron Bound to Transferrin by Vibrio parahaemolyticus" Microbiology and Immunology. 38. 687-693 (1994)
-
[Publications] S.Yamamoto: "Utilization of Hemin and Hemoglobin as an Iron Sources by Vibrio parahaemolyticus and Identification of an Iron-Repressible Hemin-Binding Protein" FEMS Microbiology Letters. (in press). (1995)