1993 Fiscal Year Annual Research Report
ポーリンチャネルの開閉調節の分子的および構造的機構
Project/Area Number |
05670267
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
良原 栄策 東海大学, 医学部, 助教授 (70167063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 裕 東海大学, 医学部, 助手 (10220774)
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Keywords | 緑膿菌 / 外膜 / ポーリン / OprD2 / チャネル / ゲート開閉 / Ca^<2+>イオン / 調節因子 |
Research Abstract |
緑膿菌薬剤耐性の一因は外膜の持つ薬剤透過障壁性にある。その外膜で栄養物、老廃物や薬剤の透過孔を形成する蛋白がポーリンである。緑膿菌外膜にあるOprD2蛋白がポーリンである事、およびOprD2蛋白は従来のポーリンと同様な孔を形成する領域(ドメイン)を持つと同時にその孔の開閉を行うゲートも持つ事を申請者は明らかにしてきた。そして本研究期間でOprD2チャンネルのゲートの開閉を調節する因子の一つがCa^<2+>である事を明らかにした。Ca^<2+>に注目した理由は、本蛋白のゲートドメインの一次構造の中に、Ca^<2+>結合配列と相同な配列が見いだされたからである。まずOprD2蛋白の蛍光を測定してみると、Ca^<2+>濃度に依存して蛍光の強度が変化する事が観察され、OprD2がCa^<2+>親和性を持つ事が示された。次にCa^<2+>結合がOprD2ポーリンの活性に影響するかをリポソーム再構成系を用いて調べた。その結果、Ca^<2+>を加えると濃度依存的にポーリン活性が増大し最大で3倍の活性化がみられた。ところがトリプシンでゲートを壊したOprD2ではこの様な活性化は起こらなかった。以上の結果は、Ca^<2+>がゲートドメインに結合し、それによって孔の開閉の平衡状態が開いた側にシフトし活性化が起こった事を示唆している。Mg^<2+>イオンなど他の二価カチオンではこの様な活性化の効果はみられず、Ca^<2+>がOprD2チャンネルのゲート開閉の特異的な調節因子である事が示された。 x線結晶解析によるOprD2チャンネルの立体構造の解明を目指して、OprD2蛋白を大量に発現する系を確立し、それから蛋白を大量に精製し、結晶化を試みる。まずクローン化したOprD2遺伝子を高発現ベクターに連結し大腸菌あるいは緑膿菌にそれを入れ、蛋白の発現を調べる。そしてこの様な発現ベクターをうまく大腸菌に入れる事に成功したところである。現在この菌での蛋白発現を調べている。
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Research Products
(1 results)