1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670267
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
良原 栄策 東海大学, 医学部, 助教授 (70167063)
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Keywords | 緑膿菌 / 外膜 / ポーリン / チャンネル蛋白 / protein D2 / ゲート開閉 / プロテアーゼ / イミペネム |
Research Abstract |
緑膿菌は日和見感染症の主要な起因菌である。病院内感染の中で高頻度で見られるものも緑膿菌感染症である。緑膿菌は多くの抗生物質に自然耐性を示し、その原因の一つは外膜の障壁性にあり、それは外膜に存在する物質透過孔が小さいことに由来する。報告者は緑膿菌外膜蛋白質のうちでprotein C,D2,E1の蛋白がポーリンであることを発見し、これらポーリンの透過孔は小さいことを明らかにしてきた。一方カルバペネム系薬剤のイミペネムは高い抗緑膿菌活性を示す。ところがイミペネムに耐性な菌が出現するようになりこれの多くはproteinD2を欠損していた。またproteinD2にはイミペネム及び塩基性アミノ酸に対する結合サイトのあることが報告された。そこでproteinD2の構造と機能を明らかにする目的で研究を行った。そしてproteinD2はチャンネル形成ドメインとゲート形成ドメインからなり、物質透過の調節を行うチャンネル蛋白であることを発見した。次にproteinD2はペプチドを分解しアミノ酸を取り込むためのプロテアーゼ活性をもつのではないかと報告者は考えた。そして以下の結果を得た。(1)proteinD2にペプチド基質を加えると、基質の分解反応が観察された。(2)セリンプロテアーゼの特異的阻害剤であるDFPでproteinD2を処理すると基質分解反応はほぼ阻害された。(3)[^3H]で標識されたDFPで処理したところ、特異的にproteinD2蛋白が標識された。以上の結果はproteinD2そのものにプロテアーゼ活性のあることを示している。(4)proteinD2の触媒残基であると考えられるSerをDFPで修飾したときに、ポーリン活性の減少が見られた。これはプロテアーゼの活性部位がチャンネル孔の近くにあることを示唆している。プロテアーゼ活性をもつチャンネル蛋白の存在を示した今回の発見はこれまでに知られているチャンネル蛋白の中で初めてのものであり、チャンネル蛋白研究に新たな境地を開くものと考えられる。
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