1994 Fiscal Year Annual Research Report
狂犬病ウイルス内部構成蛋白による感染防御機構の解明
Project/Area Number |
05670282
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Research Institution | Oita Medical University |
Principal Investigator |
三舟 求眞人 大分医科大学, 医学部, 教授 (70039915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西園 晃 大分医科大学, 医学部, 助手 (70218155)
七條 明久 大分医科大学, 医学部, 助教授 (90039917)
万年 和明 大分医科大学, 医学部, 助教授 (20145361)
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Keywords | 狂犬病ウイルス / ウイルス内部構成蛋白 / 抗N抗体 / 感染防御 |
Research Abstract |
本研究は狂犬病ウイルスの中和抗体産生能のない内部蛋白であるNucleoprotein(N)による感染防御機構の解明を目的としている。平成6年度は、関与すると考えられる因子のうち、N抗体自身の抗ウイルス効果にしぼって研究を行った。その結果、試験管内で培養細胞を高濃度のN抗体と培養すると、細胞は抗体を取り込むこと、それは抗N抗体に限らず動物種、ウイルスの種に関係なくendocytosisで細胞質に取り込まれることを先ず明らかにした。そして興味深いことに、この様な抗体の取り込みは、ウイルスを同時に感染させることにより著明に増強されること、しかし、この場合は他のウイルスの同時感染では認められなく、狂犬病ウイルス特異的であること、そして、この様に抗N抗体を取り込ませた培養細胞に狂犬病ウイルスを感染させると、取り込ませた抗体の濃度依存的にウイルスの増殖が抑制されることが明らかとなった。また、予め抗体とウイルスとを混合し、1時間培養したものを正常な培養細胞に接種した場合も、すでにLodmellら(1994)によって報告されているようにウイルスの増殖が抑制された。抗体を予め取り込ませた細胞へのウイルスの吸着、侵入は対照と比べて殆ど抑制されていなかったが、抗体とウイルスの混合物の吸着、侵入は軽度に抑制されていた。 これらの結果は、中和抗体活性のない抗N抗体が細胞の周囲に高濃度で存在すると細胞がこれを取り込み、ウイルスが感染するとその増殖を抑制すること、その機構はウイルスの吸着、侵入以後の事象であることを示唆し、さらに、これについてはこれまで未だ報告はないが、ウイルス粒子表面にNが露出されていることを強く示唆するものである。今後はこれらの可能性についてさらに追求することにより、抗N抗体の抗ウイルス作用の実態が明確にされることが期待される。
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[Publications] Fujii,H.: "Protective efficacy in mice of post-exposure vaccination with vaccinia virus recombinant expressing either rabies virus glycoprotein or nucleoprotein" Journal of General Virology. 75. 1339-1344 (1994)
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[Publications] Fujii,H.: "Target cells of cytotoxic T lymphocytes directed to the individual structural proteins of rabies virus" Microbiology and Immunology. 38. 721-726 (1994)