1993 Fiscal Year Annual Research Report
Rap-1GAP相同性を有しリンパ造血系に特異的に発現する核内蛋白の解析
Project/Area Number |
05670300
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
服部 雅一 京都大学, 医学部, 助手 (40211479)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湊 長博 京都大学, 医学部, 教授 (40137716)
|
Keywords | Rap1GAPホモログ / 核内蛋白 / 翻訳時ホッピング / GAP活性 / 細胞増殖抑制 |
Research Abstract |
1.SPA-1蛋白を認識するモノクロナール抗体の作製と細胞内 SPA-1蛋白の同定 Spa-1ORFのうちN末側190アミノ酸よりなるRap1GAP(GAP3)相同ドメイン(SpanN)、およびORFのC末側150アミノ酸をコードする領域(SpanC)の誘導蛋白を大腸菌で作製し、これを免疫原と3種のモノクロナール抗体(抗SpanN抗体:F-6、抗SpanC抗体:H-1,H-10)を作製した。これらの抗体用いたウェスタンブロット解析及び免疫蛍光法にて、SPA-1は分子量68kDの核内蛋白であることが明かとなった。 2.Translational hopping によるSPA-1発現調節 Spa-1cDNAは、328アミノ酸をコードするORFの15bp後方に2つのstopコドンをはさみ380アミノ酸をコードしうるreading frame(RF)が(+1)shiftして存在する(この間の塩基配列に間違いがないことは,2種のcDNA libraryからrecloningしたSpa-1cDNA、RT-PCRの産物およびSpa-1 genomeの解析から確認したが、上記の実験結果は、この2番目のRFがORF続く形で翻訳されている可能性が示唆した。そこで、5'UTを削ったSpa-1遺伝子を大腸菌にて発現させたところ、約85kDaと55kDaの2種のバンドが確認された。また、in vitro transcription/translation実験からも2番目のRFが2つのstop codonをホップして翻訳されていること(translational hopping)を確認した。translational hoppingはこれまでにT4ファージのGene60においてのみ報告されており、哺乳類においては類を見ない。現在、さらにこのhoppingを証明するために、得られたレコンビナントSPA-1の全アミノ酸配列の決定を行っている 3.細胞増殖調節における SPA-1蛋白の役割 SPA-1蛋白を恒常的の発現したNIH/3T3細胞(NIH/SPA-1)(正常NIH/3T3細胞に比べ、約10〜20倍量のSPA-1を発現している)を樹立し、その細胞増殖について解析を行った。その結果、NIH/SPA-1細胞は48時間0.5%CS存在下での培養によりG1-arrestに陥らせた後、血清で再刺激を行ったところ、顕著な増殖阻害が観察された。鏡検を行うと大部分の細胞が死滅しているのが観察された。現在、SPA-1がどのようにこの細胞死を誘導しているか解析を行っている。 4.GAP活性測定 SpanN-GST融合蛋白に、Rap-1(Rsr-1)および核内低分子量G蛋白であるRanに対するGAP活性が認められた。しかし、RasおよびRhoに対するGAP活性は認められなかった。Ranはその調節蛋白の一つであるRCC-1とともに、細胞周期の調節に働いていることが明らかとなっている。現在、全長のレコンビナントSPA-1を用いたGAP活性の測定を行うとともに、Ran/RCC-1との相互作用について解析を進めている。
|