1993 Fiscal Year Annual Research Report
胸腺細胞の分化に果たすbetaT細胞抗原受容体の役割
Project/Area Number |
05670304
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岸 裕幸 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (60186210)
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Keywords | 未熟胸腺細胞 / BT細胞抗原受容体 |
Research Abstract |
CD4-8-胸腺細胞がCD4+8+胸腺細胞へ分化する際にbetaTCRが重要な役割を果たす。すなわちbetaTCR遺伝子の再構成が起こらず、betaTCR分子が発現することができないscidマウスやRAG1遺伝子欠損マウス、RAG2遺伝子欠損マウスの胸腺細胞はCD4-8-の段階で分子が止まっている。CD4-8-胸腺細胞におけるbetaTCRはalphaTCR鎖等とは会合しておらず(未熟betaT細胞抗原受容体:未熟betaTCR)、CD4+8+胸腺細胞への分化を誘導するシグナルに関与していると考えられている。我々は、これまでに未熟betaTCRを細胞表面に発現しているマウス胸腺細胞株を確立していた。今回この細胞をラットに免疫することにより、未熟胸腺細胞に特異的に反応する単クローン抗体を作製した。この抗体が認識する抗原(IMT-1抗原)はCD4-8-胸腺細胞がCD4+8+胸腺細胞へ分化する過程で一過性に発現していた。CD4-8-胸腺細胞の分化段階はpgp-1(CD44)分子、IL2受容体alpha鎖(CD25)分子の発現でさらに細かく分けることができ、CD44+CD25-,CD44+CD25+,CD44-CD25+,CD44-CD25-の順に分化する。IMT-1抗原はCD44+CD25+の一部の細胞に発現しはじめるが、CD44+CD25+の細胞でIMT-1抗原陽性細胞の率が最高になる。この時期はRAG2遺伝子の発現、betaTCR遺伝子の再構成およびその発現が誘導される時期と一致し、IMT-1抗原が未熟betaTCRによる胸腺細胞の分化誘導に直接的あるいは間接的に関与しているかは興味ある問題である。現在この抗原の分化の同定および機能の解析を行っている。
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