1994 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球細胞内のシグナル伝達に関与する転写制御因子の解析
Project/Area Number |
05670313
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research (RIKEN) |
Principal Investigator |
前川 利男 理化学研究所, バイオデザイン研究グループ, 研究員 (90201764)
|
Keywords | 転写制御因子 / リンパ球 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
細胞内セカンドメッセンジャーcAMP濃度が上昇すると一群の遺伝子の転写が誘導されるが,これらの遺伝子はその転写制御領域に共通のDNA配列CRE(cAMP response element:TGACGTCA)を有している。これまでに多くのCRE結合蛋白質がcDNAクローニングにより同定されたが,機能的にはMontminyらにより同定されたCREBと私達が同定したCRE-BP1の2つに大別できることが明らかとなってきた。CREBは細胞内cAMP濃度の上昇により活性化されたPKAによりリン酸化され,転写活性化能が上昇する。一方CRE-BP1の活性はPKAにより制御されず,CRE-BP1の特長はホモダイマー又はc-JunとのヘテロダイマーとしてCREに結合することである。c-Jun/c-Fosのヘテロダイマー(転写因子AP-1)はTRE(TPA response element:TGAGTCA)配列に結合する。従ってCRE-BP1はcAMP経路とTPA経路間のクロストークに重要な役割を果たしていることが明らかとなってきた。一方CRE-BP1関連遺伝子産物の機能をより広範に調べる目的で,CRE-BP1 cDNAをプローブとしてCRE-BP1と構造が類似する遺伝子,CRE-BPa,を単離し,その遺伝子産物について解析した。CRE-BPaはDNA結合ドメインなどの機能ドメインにおいてCRE-BP1と高い相同性を持ち,ホモダイマーはCRE-BPa/CRE-BP1,CRE-BPa/c-JunのヘテロダイマーとしてCREに結合する。驚いたことにCRE-BPaのCREを介した転写活性化能はTPAにより促進された。この結果は,CREを持つ遺伝子の発現が,CRE-BPa存在下ではTPAにより促進されることを示しており,PKA経路とPKC経路のクロストークを考える上で興味深い。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Nomura,N.: "Isolation and characterization of a novel member of the gene family encoding the cAMP response element-binding protein CRE-BP1." J.Biol.Chem.268. 4259-4266 (1993)
-
[Publications] Someya,Y.: "Two 3'-5'-cyclic-adenosine monophosphate response elements in the promoter region of the human gastric inhibitory polypeptide gene." FEBS Lett.317. 67-74 (1993)
-
[Publications] Zu,Y.-L.: "Regulation of trans-activation capacity of CRE-BPa by phorbol ester tumor promoter TPA." Oncogene. 8. 2749-2758 (1993)