1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670333
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
赤阪 進 大阪府立公衆衛生研究所, 労働衛生部, 主任研究員 (10158719)
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Keywords | Ferroic ion / Escherichia Cpli / Muatation specificity / pZ189 / Transversions |
Research Abstract |
我々は、水酸ラジカルによる突然変異の分子機構を追求する過程で、Fe^<2+>-EDTAあるいはFe^<3+>-EDTAのみでも頻度は低いがプラスミドに突然変異を引き起こすことを見いだした。細胞内には、鉄がなんらかの形で多く存在し、特に高濃度あの活性酸素を必要としないDNA損傷機構の存在は、正常な細胞内でDNA損傷が常時生じていることを示しており、バックグランドレベルの突然変異の要因として考慮すべき現象である。この作用機構を解明するために、誘導された変異を塩基配列レベルで解析し突然変異スペクトルを求めた。 プラスミドPZ189上のsupF遺伝子を突然変異の検出に用いた。プラスミドDNAを種々の濃度のFe^<2+>-EDTAとリン酸緩衝液中で処理した後、我々が開発したsupF遺伝子の変異を効率よく選択することが出来る大腸菌の系にプラスミドを導入し、上記処理による突然変異頻度を求めた。プラスミドpZ189のsupFA遺伝子の突然変異頻度は、Fe^<2+>-EDTAの濃度に応じて増加した(0muM-0muM:3.06×10^<-7>,5muM-20muM:4.21×10^<-7>,25muM-100muM:7.72×10^<-7>,125muM-500muM:6.19×10^<-6>)。 また、Fe^<2+>-EDTA(125muM-0.5mM)処理で得られたsupF変異を持つプラスミドの各クローンについて、DNA塩基配列を調べ突然変異スペクトルを求めた。大腸菌を紫外線照射によってSOS誘導したものと未処理のもの、それぞれから60個と49個の変異プラスミドを得た。これらの塩基配列を解析した結果、塩基置換とフレームシフトが変異の90%を占め、塩基置換の80%はG:Cで生じていた。これらは、過酸化水素や自然突然変異で得られたものと同様であったが、鉄イオンでは、G:C→T:AよりG:C→C:Gトランスバージョンが4倍程度多く、DNA損傷のしくみが過酸化水素によるものと異なっているのではないかと考えられる。
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Research Products
(1 results)