1994 Fiscal Year Annual Research Report
思春期の子供のライフ・イベントとストレス・コーピングに関する研究
Project/Area Number |
05670335
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Research Institution | YAMAGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森岡 由起子 山形大学, 医学部, 助教授 (70113983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生地 新 山形大学, 医学部・附属病院, 講師 (20185177)
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Keywords | 精神保健 / 思春期 / 中学生 / ライフ・イベント / ストレス・コーピング / 両親の養育態度 / 神経症 / 精神症状 |
Research Abstract |
昨年度に調査を実施した中学校の2年と3年の一般中学生222名に対して、昨年度と同じ項目の調査を約10ケ月後に実施した。調査内容は、自己評価式精神症状尺度であるSRT、ライフイベント一覧表、両親の養育態度の評価尺度であるPBI、我々の開発したストレス・コーピング(ストレス対処法)評価票が含まれている。また、平成6年9月から12月にかけて山形大学附属病院精神科を受信した中学生の神経症患者に対しても同様の調査を施行し、昨年度とあわせて合計50名の中学生の神経症患者から解答を得た。 昨年度と今年度で同一の一般中学生の集団を追跡し比較した結果、SRTの総得点については1年間で1.3点だけ上昇したが有意差はなかった。1年間のSRTの総得点の変化と1年間のライフイベントの体験数との関連をみたが、有意な関連を認めなかった。 一般中学生と中学生の神経症患者の間の比較を行ったところ、神経症の患者群の方が一般中学生に比べて、精神症状が有意に多いほか、深刻なライフイベントを体験しているものが有意に多かった。また、スポーツよりもメディア・音楽を利用した対処法をとるものが有意に多く、両親とも過保護・過干渉の傾向があることが示された。 昨年度および今年度の調査から、中学生の訴える精神症状と最近体験したライフイベント、およびストレス対処法、子どもから見た親の養育態度との間には、有意な関連が認められた。しかし、ライフイベントを経験した結果、精神症状が増加するというよりは、精神症状が増加した結果、ライフイベントの経験も増加するという可能性が高いという結果であった。また、神経症の中学生は、一般中学生と比べて、ライフイベントの経験やストレス対処法、親の養育態度の面で違いがあることが示された。
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