1993 Fiscal Year Annual Research Report
大都市における脳卆中予防のための情報システム及びケアシステムの構築に関する研究
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05670346
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒田 研二 大阪大学, 医学部, 助教授 (70144491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 範幸 大阪大学, 医学部, 助手 (90207829)
多田羅 浩三 大阪大学, 医学部, 教授 (20107022)
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Keywords | 脳卆中 / 3次予防 / 医療情報システム / 地域ケアシステム / 地域リハビリテーション |
Research Abstract |
本年度は、研究の初年度として2つの研究を行った。すなわち、脳卒中患者の日常生活動作能力(ADL)の変化に影響する要因に関する研究と、大阪府内の病院に対する脳卒中患者の治療状況および脳卒中情報システムに関する意識についての調査である。 脳卒中患者のADLの変化に影響する要因に関する研究は、大阪市の保健婦が訪問指導事業の実施を通じて把握している脳卒中患者の全数(1,200名)を対象として行われたものである。これまでの訪問記録をもとに、保健婦の初回訪問時(多くは入院治療を受けて退院した後に訪問を行っている)のADLレベルと直近の訪問時のADLレベルの差をもとに、対象者をADLの改善群、不変群、悪化群の3群に区分し、性別、年齢、病型、罹病期間、家庭での介護状況、機能訓練の実施、家屋の状況といった要因がどのようにADLの改善・悪化に影響しているかを調べた。その結果、ADLの悪化に対し、高年齢、家庭の介護力が低いこと、継続して機能訓練を実施していないことが影響していることを明らかにした。さらに、保健婦によって家庭の介護力が低いと判断された世帯は、介護者が病弱であったり介護のための時間的余裕がないといった介護者の状況のほか、住宅の状況および経済状況も劣悪であることが明らかになった。 病院に対する脳卒中情報システムに関する調査は、大阪府内の病院全数を対象に実施し421施設から回答を得た(回答率71%)。このうち376施設において脳卒中の急性期または慢性期の入院治療が行われており、これら脳卒中を取り扱う病院の7割が脳卒中の情報システム事業に協力可能であると回答した。 以上の調査を通じて、脳卒中情報システムおよび地域におけるケアシステムの可能性とこれらのシステムが備えるべき条件を具体的に明らかにした。
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[Publications] 黒田研二,清水美子,藪本初音,中西範幸,高鳥毛敏雄,福田英輝,多田羅浩三: "脳卒中後遺症者のADL低下をもたらす要因" 社会医学研究(第34回社会医学研究会総会講演集). 特別号. 73-74 (1993)
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[Publications] 黒田研二,中西範幸,西信雄,高鳥毛敏雄,李福植,多田羅浩三: "脳卒中情報システムに対する病院の態度とその関連要因" 日本公衆衛生雑誌. 第40巻 第10号. 487 (1993)