1993 Fiscal Year Annual Research Report
生物学的指標の変動および出納試験によるナトリウムの最小必要量と目標摂取量の設定
Project/Area Number |
05670361
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
伊達 ちぐさ 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (60047389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 平三 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70047215)
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Keywords | ナトリウム / 出納試験(バランススタディー) / アルドステロン / ミネラル / 健康成人 |
Research Abstract |
健康な成人男子4名(年齢23〜35歳、体重53.5〜70.5kg)を対象として、1993年11月〜12月に43日間にわたる蓄尿を実施した。食事は、開始後4日間は各自の通常食(自由食)とし、その後39日間は調整された実験食を摂取させた。実験食は、日本人の成人男子の栄養所要量をすべての栄養素に関して満足させており、食品群の摂取構成も偏りの無いように工夫されたもので、ナトリウム含有量のみが異なる4種を調整した。すなわち、実験食I(食塩として9gとなるように調整したが、原子吸光分析による実測値では2770mgのNaが含まれていた。)実験食II(食塩7g。実測Na2427mg)実験食III(食塩4g。実測Na1817mg)、実験食IV(食塩2g。実測Na1079mg)である。各実験食の摂取順および摂取期間は、Iを4日間、IIを7日間、IIIを10日間、IVを11日間、IIIを7日間とした。各実験食期の最後の48時間分の尿を収集した。別に実験II、IIIについては、最後の2日間は外的環境を一定に保つため被検者を施設に収容して、48時間に皮膚から排泄されるすべての物を収集した。尿、屎、皮膚排泄物および実験食のミネラル類含有量は原子吸光法により測定され、Na、K、Ca、Mgの出納状況が検討された。実験期間中は3〜4日間隔で採血し(合計13回)、アルドステロン、レニン活性、アンジオテンシンI、II、抗利尿ホルモン等を測定した。 ナトリウム出納は実験食IとIIではほぼ平衡が維持されていたが、実験食IIIからやや正(排泄量が摂取量よりも少ない)の傾向を示し始め、実験食IVでは完全に正となり摂取量の約70%が体内に蓄積された。反対にカリウムの出納は負となり摂取量の約150%が排泄された。カルシウムはどの実験食でも出納は平衡であった。血液成分では、アルドステロンは実験食IVで異常高値を示し、摂取期間中全く低下傾向は認められなかった。以上の結果から、ナトリウムの最小必要量は実験食III(約1800mg)付近にあるのではないかと推定された。
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