1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670386
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
南方 かよ子 浜松医科大学, 医学部, 講師 (70115509)
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Keywords | 薬毒物 / 電子スピン共鳴 / パラコート / ジクワット / ビタミンCラジカル / システィンプロテアーゼインヒビター / ビタミンC合成不能ラット / 抗酸化剤 |
Research Abstract |
ヒトの毒物耐性を検討するためにビタミンC合成不能ラット(ODS)を用いて研究した。既にあるESR装置ならびに平成5年度科研費にて入手したラピットスキャンにて血漿中ビタミンCラジカル及び組織中のパラコートを定量した。平成6年度科研費は試薬の購入と研究成果報告書作成に用いた。 餌中に250ppmの除草剤パラコートを投与したところ、通常ラットは平均14日で中毒症状をを示すが、ODSラットは平均8日と6日も早く発症した。またODSラットは正常の発育に必要とされるビタミンC量の10倍量を与えても、中毒発症を1日しか遅らすことができなかった。ESR法にてこれらのラット組織中のパラコートを定量したところ、通常ラットの肺での濃度は0.8μg/gで、あるのに対し、ODSラットのそれは0.1μg/gでODSラットは非常に低い濃度であるにもかかわらず、発症していることが示された。 文献(7)ではODSラットを用いて、パラコートの毒性について、投与量の点から検討を行った。同一量のビタミンCを与えたODSラットに、パラコートを35、125、250ppm投与したところ、250ppmの群のみ6日頃から中毒症状を示したが、125、35ppmの群は症状を示さなかったので14日目に殺して比較した。その結果、同一量のビタミンCを与えたにもかかわらず、中毒症状を示した群の血漿、肝、肺のビタミンC量は減少しており、特に肺では半分程度まで減少していた。投与量125ppmと250ppmの間で毒性発現に大きな差がある点は通常ラットと同じであった。250ppmのパラコートを与えた群において、ビタミンCを正常の10倍与えると、血漿では正常の4倍、肝では2倍であるにもかかわらず、肺では正常の60%にまでビタミンCが減少していた。このように過剰に与えたとしても中毒時には肺では正常値以下であることが、ODSラットよりも中毒に弱い原因の一つであろうと推測された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kayoko Minakata: "Diquat increases cysteine proteinase inhibitors greatly in rat plasma and tissues." Archives of Toxicology. 69. 318-321 (1995)
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[Publications] Kayoko Minakata: "Acute-phase reactant proteins and antioxidants in rats intoxicated chronically with paraquat." Journal of Toxicology and Environmental Health. 44. 29-41 (1995)
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[Publications] Kayoko Minakata: "Effect of dietary paraquat on a rat mutant unable to synthesize ascorbic acid." Archives of Toxicology. 70. 256-258 (1996)
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[Publications] 斉藤慎一: "パラコートによる毒性発現機構に関する研究 活性酵素とその消去系(1)" 静岡県立大学短期大学部特別研究報告書. 63-72 (1995)
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[Publications] Kayoko Minakata: "The effect of dietary paraquat on a rat mutant unable to synthesize vitamin C. International Conference on Food Factors.Chemistry and Cancer Prevention." Springer-Verlag(in press), (1996)
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[Publications] 斉藤慎一: "ODSラットに対するパラコートの毒性発現と組織のα-トコフェロールおよび酸化について。ビタミンE研究の進歩VI" 共立出版(印刷中), (1996)