1993 Fiscal Year Annual Research Report
虚血及び硬直における心筋カルパインの変化に関する研究
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05670391
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉田 謙一 山口大学, 医学部, 教授 (40166947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧角 俊郎 山口大学, 医学部, 講師 (00199655)
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Keywords | フォドリン / カルパイン / 虚血 / 再潅流 / 心筋 / カルシウム / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
心筋を一定時間以上、虚血に暴露した後再潅流すると非可逆的障害(梗塞)に陥る。私達は、この過程にカルシウム依存性プロテアーゼの一つであるカルパインが関与している可能性を検討してきた。昨年度、虚血再潅流心筋のカルパイン活性が上昇していること等を見い出した。今年度、この現象に関連して、膜分画のμ-カルパインが自己限定分解を起こしていることを見い出した。これは本プロテアーゼの生体内での活性化の指標として有用である。また、虚血時間10〜20分後の再潅流でカルパイン活性が上昇すること、試験管内でのカルパインの基質であるフォドリンが同様の時間経過で分解していること、内因性のインヒビター蛋白質であるカルパスタチンの活性が低下していること、さらに、これらの変化が合成カルパイン阻害剤のあるもので抑制されること等を見い出した。これら、カルパインに関連する変化は潅流液中のカルシウムを除去することにより阻害されることより、カルシウムに依存した変化であることが明らかになったが、最近注目されているようなリン脂質代謝回転や内因性カテコールアミンの関与に関する検討ではポジティブな結果は得られていない。いっぽう、フォドリンは膜の裏打ち蛋白質であり、細胞の形態維持などに重要な働きをしていると考えられている。フォドリンの分解は細胞膜の破壊から細胞の非可逆的な障害、すなわち梗塞化に関与している可能性が大である。また従来、報告された、どの虚血性変化よりも早く出現している。現在、上記のようなカルパインに関連する変化の機序の解明を進めていると共に、これらの変化のうちフォドリンの分解が心筋の非可逆的障害(梗塞化)にどのように関与しているかを免疫組織化学的方法を併用して検討中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kenichi Yoshida ら: "Calpain activity alters in rat myocardial subfractions after ischemia or reperfusion" Biochimica et Biophysica Acta. 1182. 215-220 (1993)
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[Publications] Kenichi Yoshida ら: "Cardiovascular,thermal and behavioral sensitization to methamphetamie in freely moving rats" J.Pharmacology and Experimental Therapeutics. (in press). (1993)
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[Publications] Kenichi Yoshida ら: "Successive Cardiac Death of brothers in association with stress" Japanese Circulation Journal. (in press). (1994)