1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670394
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
高濱 桂一 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (70040160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯川 修弘 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (30240154)
末富 勝敏 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (70235836)
瀬尾 泰久 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (80187830)
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Keywords | 法医血清学 / 肝特異抗原(LSA) / トロポニンI / スクラーゼ・イソマルターゼ / 酵素免疫測定法 / 肝臓 / 心筋 / 小腸 |
Research Abstract |
臓器特異抗原を凶器等に附着した血痕から検出することにより、損傷を受けた臓器の特定が可能となるのではなかろうかと考え、肝臓、心筋及び小腸特異抗原の酵素免疫測定法の開発を企図した(高濱、日法医誌、1993)。 1.肝臓:独自に分離同定した肝特異抗原(LSA)について、サンドイッチ酵素免疫測定法を開発し、肝臓損傷をうけた死体における血中濃度の顕著な上昇を認めたが、この方法の検出限界は血痕を対象とした場合は不充分(52pg/tube)であった(瀬尾。高濱、日法医誌、1992)。そこで、固相不溶化抗体と酵素(ペルオキシダーゼ)標識抗体の両者についてアフィニティー精製を試みたところ、検出限界は0.52pg/tubeと大幅に改善され、血痕からのLSAの測定が可能となった(瀬尾、高濱、日法医誌、掲載受理)。また、実験的に肝臓に刺入したメス刃にはかなりの量のLSAが密着することが示され、肝臓が損傷した凶器の法医学的な同定が可能となった。 2.心臓:トロポニンIは免疫源性が弱く力価の高い抗体が得られなかった。しかし従来の方法でアフィニティー精製を行つてもトロポニンIの分子量が小さく、トロポニンIと精製抗体との分離(精製において一部抗体の混入は不可避である)は困難で、バックグランドが上昇し感度の改善は望めない。そこで、分子量を大きくするためトロポニンIと牛血清アルプミンとの複合体を調製し、これによるアフィニティー精製を試みている。 3.小腸:ブタによるモデル実験を通じて、小腸を穿通した刃器の同定がスクラーゼ・イソマルターゼの検出によって可能なことが示された。すなわち、屠殺されたブタの腹部に出刃包丁を刺入し、附着した斑痕をサンドイツチ酵素免疫測定法で測定した。抗体のアフィニティー精製は行っていない(検出限界、27pg/tube)が、腸管内のスクラーゼ・イソマルターゼが比較的豊富なため、腸管穿通刃器からの検出は充分可能であった。
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Research Products
(1 results)