1993 Fiscal Year Annual Research Report
HLA検査後のプレート内リンパ球からのDNA抽出法の検討とDNA解析への応用
Project/Area Number |
05670398
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
原 正昭 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (50129160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠塚 達雄 慶応義塾大学, 医学部, 講師 (70095610)
渡辺 博司 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80051233)
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Keywords | ホルマリン固定 / リンパ球 / DNA抽出 / HLA / 親子鑑定 |
Research Abstract |
今回、親子鑑定時のHLA検査後のプレート内リンパ球を用いたDNA解析の検討を試みた。HLA検査後のため、使用するリンパ球はすでにホルマリン固定された状態であり、本年度は、ホルマリン固定リンパ球からのDNA抽出法の検討を中心に行ってきた。 【.encircled1.】:新鮮リンパ球と10%ホルマリン固定したリンパ球について、通常のフェノール法でDNA抽出を行い、その収量について比較検討した。その結果、新鮮リンパ球では16.2±3.0mug(10^6個)に対し、ホルマリン固定リンパ球では1.9±0.8mugしか回収できなかった。 【.encircled2.】:また、ホルマリン固定リンパ球を経時的にDNA抽出を行ったところ、新鮮リンパ球では10.8mugに対し、ホルマリン固定6時間で5.7mug、1日後で3.3mug、5日で1.5mug、10日で0.9mugと固定1日から急激に回収量は低下することが判明した。 【.encircled3.】:ホルマリン固定リンパ球をマイクロプレート内でSDS・プロテキナーゼK処理を行い、リンパ球の変化を経時的に顕微鏡で観察した結果、24時間処理(56℃)でもリンパ球膜の溶解がほとんど起こらないことが確認された。 【.encircled4.】:そこで、他の数種類の蛋白質分解酵素類や界面活性剤を駆使し、DNA抽出の検討を行ったところグアニジン塩酸・パパイン混合液を使用して前記と同様にリンパ球膜を観察した結果、ホルマリン固定された膜でも溶解(56℃6時間)することが判明した。 【.encircled5.】:この新しいグアニジン・パパイン法で従来のSDS・PK法との比較を行ったところ、SDS・PK法で1.1±0.3mug(10^6個)であったが、グアニジン・パパイン法で3.4mugと従来法の約3倍量のDNA回収が可能であった。 【.encircled6.】:現在は固定リンパ球から抽出した試料の性状(低分子化の状態)の検討や、実際のHLA検査済プレート内からDNA抽出を試みている。
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