1993 Fiscal Year Annual Research Report
三次元画像解析による脳死例の小脳顆粒層崩壊に関する組織計量的研究
Project/Area Number |
05670399
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
古川 理孝 北里大学, 医学部, 講師 (90051911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船尾 忠孝 北里大学, 医学部, 教授 (50050307)
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Keywords | 脳死 / 小脳 / 小脳顆粒層 / 自己融解 / 二次元画像解析 / 三次元画像解析 |
Research Abstract |
脳死・臓器移植を巡り、脳死判定が早過ぎたのではないかということも争点となり得る。その指標として小脳顆粒層の自己融解(GLA)に注目し,オリンパス社製画像解析装置EM・OZ(自動入力)での検討を試みた。 1.二次元画像解析(EM):脳に著変のない対照例7例と脳死例6例の小脳についてHEおよびHE・LFB重染色標本を作製し,顆粒層1000mu^2当たりの小顆粒細胞(GC)数などを検索し,A時間(心停止後の死後経過時間)やB時間(脳死判定から解剖までの時間)との相関性を検討した。その結果,対照例ではA時間が6時間例の平均GC数27.5個(GC面積は14.1mu^2)が,5日の例では22.1個(GC面積は7.0mu^2)に減少し、A時間とGC数の相関係数(r)は-0.750(p<0.001))であった。脳死例ではA時間よりB時間との間に相関がみられ、B時間が1.5日例の平均GC数20.6個(GC面積は6.8mu^2)が4日の例では4.3個(GC面積は7.1mu^2)へと顕著に減少し,B時間とGC数のrは-0.763(p<0.001)であった。また脳死例のGLAを詳細に観察すると崩壊像は一様でなく,特に赤血球の性状(正常〜崩壊)と組み合わせて見るとほぼ4タイプに分類し得た(第19回北里医学会総会,1993)。 2.三次元画像解析(OZ):対照例3例・脳死例1例について小脳・脳幹部の横断標本(HE染色)を約0.7〜1.0cm間隔で作製し,小脳皮質とGLA・髄質・脳幹部などの体積計測法や立体画像の再構築,また良好な固定法などについて検討した。その結果,画像解析による小脳・脳幹部全体の体積は対照例が169.9cm^3(実物の96.5%)・脳死例は141.3cm^3(実物の86.1%),また脳死例のGLAは35.7cm^3(小脳皮質の約44.4%)で、皮質浅層の血栓を伴った高度うっ血部や出血・軟化巣周囲の広範な分布状態が立体的に再構築し得た。今後も新たな脳死例での検討を継続するが,すでに収集してある脳死例標本のGLAも三次元的に解析したいと考えている。
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Research Products
(1 results)