1994 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴法を用いたラット骨格筋の死後変化の数量化に関する研究
Project/Area Number |
05670402
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
平川 慶子 日本医科大学, 医学部, 助手 (30165162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 曜吉 日本医科大学, 医学部, 教授 (70152220)
仁平 信 日本医科大学, 医学部, 助教授 (40089636)
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Keywords | 早期死体現象 / 死後硬直 / 骨格筋 / 磁気共鳴法 / エネルギー代謝 / pH / 死後経過時間 / リン |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,種々の条件(頸部圧迫・酸素欠乏・溺水(淡水・海水)・薬物急性投与(エタノール・コカイン・臭化パンクロニウム・塩化カリウム・メタンフェタミン)で屠殺(心停止確認)したラット屍体の後肢(大腿部骨格筋)について,死後4時間までのin vivo^<31>P-MRS測定を行った。得られたスペクトルから求めた骨格筋組織内のATP・無機リン(PI)・クレアチンリン酸(PCr)量およびpH値と死後経過時間の相関関係は,いずれの屠殺条件においても高く,特にpH値は極めて高い相関性を示した。しかし,ATP・PCrの減少速度およびPiの増加速度は,屠殺条件によって大きく異なり,pH値以外の^<31>P-MRSデータから死後経過時間を推定する際には,死因や心停止直前の骨格筋の運動量(痙攣発作の有無など)を考慮に入れる必要があるという結果となった。逆に,死後経過時間が明らかな場合には,^<31>P-MRSデータが死因の検討するうえでの有用な情報源となる可能性も示された。 また,今年度は,早期死体現象における死因や環境温度の影響についての基礎的な検討事項として,屠殺条件の異なる屍体を,低温(4℃)・常温(20℃)・高温(37℃)下に放置し,直腸温変化と死後硬直(発現時期・強度変化・緩解の開始時期)について,死後4時間までの経時的な観察を行った。同じ保存温度下では,直腸温変化と硬直の発現時期についてはいずれもあまり差がなかったが,硬直の強さは,屠殺条件によって大きく異なり,in vivo^<31>P-MRSデータと関連性のある傾向を示した。また,同じ屠殺条件下では,高温になるほど硬直の発現は早く,強かった。 以上の結果を参考に,来年度は,保存温度の異なる屍体の骨格筋のin vivo^<31>P-MRSデータを蓄積し,屠殺条件のデータと併せたデータ解析を行い,さらに,直腸温変化・死後硬直の発現と緩解などの早期死体現象とin vivo^<31>P-MRSデータとの関連についてもさらなる検討を加え,早期における死後経過時間の推定手段としての^<31>P-MRS法の実用性についての総合的な評価をまとめる予定である。
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