1995 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴法を用いたラット骨格筋の死後変化の数量化に関する研究
Project/Area Number |
05670402
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Research Institution | Nippon medical School |
Principal Investigator |
平川 慶子 日本医科大学, 医学部, 助手 (30165162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 曜吉 日本医科大学, 医学部, 教授 (70152220)
仁平 信 日本医科大学, 医学部, 助教授 (40089636)
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Keywords | 早期死体現象 / 死後硬直 / 骨格筋 / 磁気共鳴法 / エネルギー代謝 / pH / 死後経過時間 / リン |
Research Abstract |
^<31>P-MRS法によるラットの骨格筋組織内のリン化合物の分析により,各分析値と死後経過時間との間に有意な相関関係が存在することは,第61回日本法医学会関東地方会,第78次日本法医学会総会で報告したが,今回,本研究の最終年度にあたり,さらにデータ数を増やすと共に,屠殺条件として新たにCOガス暴露を加えるなどの補足的な実験を行った。得られた結果をパソコンの統計ソフトウエアを用いて解析し,^<31>P-MRSデータと死後経過時間に関して高い相関性の認められた分析値について,各分析値から死後経過時間を推定する回帰関数を求め,その有意性についての検定を行った。 本年度の分析結果でも,ATP・無機リン(Pi)・クレアチンリン酸(PCr)量およびpH値と死後経過時間の相関関係は,いずれの屠殺条件においても高く,特にpH値においては極めて高いという傾向に変わりはなかった。さらに,個体ごとに,各分析値から死後経過時間を推定する一次式を求めたところ,ATP・PCr・pH値すべてについて有意かつ適合度の高い回帰関数が得ることができた。そこで,各回帰式の係数項と定数項について,屠殺条件による影響を検討したところ,pH値は,ほぼ一定の値を示し,屠殺条件に関係なく適合度の高い回帰関数が求め得ると考えられた。これに対し,ATP・PCrでは,心停止直前の骨格筋の運動量・痙攣発作の有無などの影響と思われる値のばらつきがあり,この点に関しては,更なるデータの蓄積が必要であると考えられた。以上の結果は,第64回日本法医学会関東地方会で発表した。 以上の研究成果を総括し,「死後経過時間の推定手段としての^<31>P-MRS法の有用性」について検討した結果を論文形式にまとめ今年中に誌上報告する予定である。
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