1995 Fiscal Year Annual Research Report
全身性エリテマトーデス患者Tリンパ球の機能異常と蛋白リン酸化との関連
Project/Area Number |
05670424
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Research Institution | Saga Medical School |
Principal Investigator |
長澤 浩平 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (00108721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛山 理 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (40253596)
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Keywords | 膜型TNF-α / 活性化Tリンパ球 / Bリンパ球 / HTLV-1 / IgM産生 / シグナル伝達 / 細胞内Ca^<2+> |
Research Abstract |
活性化Tリンパ球上の膜型TNF-αはBリンパ球による免疫グロブリン(Ig)産生を促進させることが最近明らかになった。われわれは高Ig血症を呈することで知られる全身性エリテマトーデス(SLE)やシェ-グレン症候群(SjS)の発症病理における膜型TNF-αの役割に注目している。HAM/TSP患者由来のHTLV-1感染株化Tリンパ球(H/T)と健常者Tリンパ球とを10日間共培養すると、HTLV-1の感染が成立し、かつ細胞表面に26kDの膜型TNF-αが発現することがWestern-blot法により確認された。この新しく感染したTリンパ球と自己Bリンパ球を10日間培養すると、Bリンパ球によるIgM産生が有意に増加し、しかも抗TNF-α抗体処理により部分的ながらIgM産生が抑制された。これに対し、Bリンパ球によるIgG産生の増強はみられなかった。これは感染Tリンパ球表面にCD40Lが発現されていなかったためであろうと考えられた。このように膜型TNF-αはBリンパ球にシグナルを送るaccessory moleculeと考えられ、しかもそれがHTLV-1感染によってもたらされるという重要な知見を得た。次にこの膜型TNF-αがTリンパ球内で何らかのシグナルを伝達する機能があるか否かを検討した。膜型TNF-αを発現しているTリンパ球に抗TNF-α抗体を加えると、細胞内Ca^<2+>の上昇が起こり、一方、培養液中にIL-2とIFN-γの産生が増加することが見いだされた。このように、Tリンパ球に発現される膜型TNF-αは新しい機能分子であることが示唆され、かつHTLV-1感染と自己免疫疾患の関連を考える上からも興味深い。今後はSLEやSjS患者のTリンパ球にHTLV-1を感染させて、免疫学的変化を検討する計画である。
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