1993 Fiscal Year Annual Research Report
各種自己免疫疾患の病因としてのHuman Foamy Virus(HFV)感染に関する研究
Project/Area Number |
05670432
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
田村 尚亮 順天堂大学, 医学部, 講師 (10188435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸叶 嘉明 順天堂大学, 医学部, 助手 (40217469)
関川 巌 順天堂大学, 医学部, 助手 (80179332)
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Keywords | PCR(ポリメラーゼ連鎖反応) / プロウイルス / Human foamy virus / 自己免疫疾患 / 逆転写酵素活性 |
Research Abstract |
HFV(Human foamy virus)は、1971年に最初のヒト・レトロウイルスとして同定されたが、現在まで散発的な検出報告があるだけで、疾患との明らかな関連性は不明であり、本邦では未だ十分な研究は施行されていない。そこで、各種自己免疫疾患の病因となりうる可能性を推測して、系統的なHFV遺伝子の検出の検討に着手した。 【.encircled1.】ゲノムDNA上のHFVプロウイルス検出の検討:今年度はHFVに特異的な遺伝子領域bel-1、bel-2あるいはLTR遺伝子領域を選択し、遺伝子配列をもとに作成したPCR用のprimerを用いて、患者末梢血あるいは気管支肺胞洗浄液(BALF)細胞から抽出したゲノムDNA中にHFVがプロウイルスとして存在するか否かを検討した。HFV遺伝子DNA断片存在の有無は、アガロースゲル電気泳動によって特異的な大きさのバンドの出現をもって確認した。対象とした50症例(SLE、慢性関節リウマチ、シェーグレン症候群、サルコイドーシスなど)では、現在までのところプロウイルスの存在は検出されていない。今後はnested primerを用いた二重PCR法やサザン・ブロット法などの使用によって検出感度を向上させると共に、病変局所に浸潤した細胞を用いることにより、より感染細胞の存在する可能性の高い検体からの検出を試みる予定である。 【.encircled2.】培養上清中の逆転写酵素(RT)活性の測定:BALF細胞とU937細胞の長期混合培養が可能であった計20例について培養上清中のRT活性を測定した。対象症例中、陽性対照としたHIV-1のRT活性に近似したRT活性の存在を示す例が3例認められた。これらの症例は抗HIV-1、HTLV-1抗体は陰性であった。今回検出されたRT活性がHFV感染に起因するか否かは不明であるが、今後更に検討したい。 次年度はプロウイルスの検出方法、対象遺伝子領域の再検討、RT活性の測定症例数を追加を行い、各種疾患の傾向に認められる傾向について検討する予定である。
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