1994 Fiscal Year Annual Research Report
各種自己免疫疾患の病因としてのHuman Foamy Virus(HFV)感染に関する研究
Project/Area Number |
05670432
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Research Institution | Juntendo University School of Medicine |
Principal Investigator |
田村 尚亮 順天堂大学, 医学部, 講師 (10188435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸叶 嘉明 順天堂大学, 医学部, 助手 (40217469)
関川 巌 順天堂大学, 医学部, 助手 (80179332)
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Keywords | Human foamy virus / 家族性地中海熱 / bel-2 / プロウイルス / PCR |
Research Abstract |
平成5年度に行ったゲノムDNAからのHuman foamy virus(HFV)遺伝子のPCRによる増幅では、検討全例で有意なシグナルを検出することはできなかった。この成績からは(1)検出感度が低い、(2)増幅領域の選択が悪い、(3)HFV感染が存在しない、などの事が考えられた。そこで本年度は、検出感度を上げ、同時に特異性を高めるためにnested PCR法を用いてゲノムDNAからHFV遺伝子のbel-2領域を増幅(457bp)した後、HFVcDNAクローンをプローブとしたSouthem blot法でHFV特異的シグナルを同定するという方法によって検討を行った。各種呼吸器疾患、各種自己免疫疾患、健常者を含む320例を検討対象とした。その中に家族性地中海熱(familial Mediterranean fever.FMF)症例が3例含まれていた。検討の結果、3例のFMF患者全例でゲノムDNA中に存在するHFV特異的なシグナルの存在が検出された。一方、健常者や他の疾患症例では全例、HFVプロウイルス由来のシグナルを認める事はなかった。 FMFは発熱、腹痛、胸痛、関節痛などが周期的に出現することを特徴とした地中海沿岸諸国に多発する疾患で、一般に常染色体劣性遺伝をするといわれている。しかし、遺伝的背景が明らかでない例もあり、病因は未だ不明である。わが国での報告例は少ないが、その多くは遺伝的素因が明確でない。報告例が少ない点は人種差によるためのみでなく、本疾患が余り知られておらず、簡便な診断法がない事も影響している。 FMF患者にHFVプロウイルスの存在が検出された本研究結果は、直ちにHFV感染をFMFの病因と断定することにはならない。しかし、HFVとFMFの関連について血清学的、組織学的、ウイルス学的な検討を含めた総合的な研究を体系的に行っていくことの有用性を示す重要な成績であると考える。
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