1993 Fiscal Year Annual Research Report
初代培養細胞を用いた正常胃粘膜上皮細胞の増殖機構の検討
Project/Area Number |
05670454
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 慎一 東京大学, 医学部(病), 助手 (30185269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺野 彰 東京大学, 医学部(病), 講師 (50155470)
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Keywords | 家兎胃粘膜上皮細胞 / 細胞増殖 / 増殖因子 / プロト・オンコジーン |
Research Abstract |
家兎正常胃粘膜細胞の増殖及びプロト・オンコジーンであるc-fos及びc-mycの発現を中心に検討した.EGF・TGFα・インスリン・10%牛胎児血清は有意に細胞増殖を刺激した.EGFの作用はインスリンと相加的であったがEGFとTGFαの作用は相加的ではなかった.この事はEGFとTGFαは同じレセプター及びシグナルを介して増殖作用に発揮している事を示唆すると考えられた.TGFβは単独では影響を与えなかったがEGFによる増殖の促進を抑制した.又cAMPは増殖を促進し,EGFとの相加作用も認めた.ATPは細胞内Ca^<2+>を上昇させ,P2プリン受容体の存在が示唆された.しかしATPは単独でもEFFの増殖作用に対しても影響を与えなかった.以上の結果からEGF・TGFα・インスリン・cAMPは家兎正常胃粘膜上皮細胞の増殖に促進的に働く因子でありTGFβは抑制的に働く因子と考えられた.EGFによりc-fosは1.5時間後に最も強く一過性に発現し,c-mycは3時間後-24時間後に発現した.cAMPはc-fosを強く発現させたがc-mycは発現させなかった.cAMPはEGFによるc-mycの発現を抑制したにもかかわらず増殖はEGFと協同的であった.TGFβはEGFによる増殖促進を強く抑制したが,c-mycの抑制は部分的であった.これらの結果から考えるとc-fos・c-mycは家兎正常胃粘膜上皮細胞の増殖にとって必ずしも本質的な因子では無い可能性が考えられた.その他の増殖因子として肝細胞増殖因子(HGF)に強い増殖促進作用を認めた.又線維芽細胞のconditioned mediumに上皮細胞の増殖促進作用を認め,これがHGFに依存する可能性があるため現在解析中である.
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