1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670466
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青野 充 京都大学, 医学部, 助教授 (50135589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 和彦 京都大学, 医学部, 助手 (80239235)
森賀 本幸 京都大学, 医学部, 助教授 (90026922)
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Keywords | 消化管機能 / 胃液分泌 / 胃腸運動 / ヒスタミンH_3受容体 / PACAP |
Research Abstract |
脳・腸管ペプチド及び活性アミンの脳内での作用及びその作用機序については不明の点が多い。一方、消化性潰瘍の成因の一つとして中枢性の消化管機能調節の異常が考えられている。脳・腸管ペプチド及び活性アミンによる中枢性の消化管機能調節の作用機序を検討する為、ラットを用い、ウレタン麻酔下で実験を行った。まずヒスタミン自身の生合成、放出を抑制し、神経ペプチドの放出の調節に関与することが明らかにされているヒスタミンH3受容体の消化管に対する役割を明らかにするため、H3アゴニスト(αメチルヒスタミン)、アンタゴニスト(チオペラミド)を股静脈より末梢性に投与し、胃液分泌に対する作用を検討した。αメチルヒスタミン、チオペラミドは基礎胃液分泌に影響を与えなかった。ペンタガストリン刺激による胃分泌に対してαメチルヒスタミンは用量反応性に抑制した。チオペラミド前処置によりその抑制は消失した。チオペラミド自身は酸分泌には影響を認めなかったが、ペプシン分泌を軽度に刺激した。 脳定位固定器を使用して側脳室内にαメチルヒスタミン、チオペラミドを投与し、胃分泌に対する作用を検討した。αメチルヒスタミン、チオペラミドの中枢投与は胃分泌に影響を与えなかった。中枢性に胃分泌を刺激するペプチドTRHの中枢性投与下で、上記H3アゴニスト、アンタゴニストを投与し、胃液分泌に対する作用を検討した。末梢性に投与したαメチルヒスタミンは胃分泌を抑制し、チオペラミドはその抑制を消失させた。中枢性投与のαメチルヒスタミン、チオペラミドはTRH刺激胃分泌に影響を与えなかった。 意識下にヒスタミンH3アゴニスト、アンタゴニストの末梢投与(腹腔内)および中枢投与(大漕内投与)を行い、胃排出能、小腸通過時間に対する作用を検討した。固形食および液体食の胃排出に対して、H3受容体関連物質は有意の影響をおよぼさなかった。αメチルヒスタミンは大漕内投与で胃排出の促進および小腸通過時間の短縮が認められ、有為な大腸への移行があった。 次にセクレチン・ファミリーに属するPACAPは視床下部を中心に中枢に豊富に存在する。VIPと構造上の類似性があるものの分布や受容体が異なり、最近注目されてきている脳腸管ペプチドである。胃分泌に対して麻酔下のラット中枢性に投与したPACAPは用量依存性に胃分泌を刺激したが、VIPはその作用を認めなかった。末梢性に投与したPACAPは胃分泌に影響を与えなかったが、VIPは刺激作用を認めた。 以上の結果より、中枢性の消化管機能に対する調節機序が、新しく注目されている活性アミンや脳腸管ペプチドに存在していることが明らかにできた。今後さらに、消化性潰瘍形成の一因としての中枢性機序について研究を重ねる予定である。
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