1994 Fiscal Year Annual Research Report
肝障害からその後の組織修復におけるプロテオグリカンの役割に関する研究
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05670476
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小出 典男 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (20142333)
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Keywords | Extracellular matrix / D-gal肝障害 / proteoglycan / decorin / biglycan / fibroglycan |
Research Abstract |
ラット・D-galactosamin肝障害モデルのコンドロイチン系プロテオグリカン(CSPG)の発現動態をdecorin およびbiglycan のcDNAをprobeとしてin situ hybridization 法とnorthern blottingにより検討した。昨年の免疫組織染色結果に一致するようにdecorinとbiglycanはいずれも障害後4-7日でsignal増強が認められたことから、これらの変化は他の報告とも併せて障害後の線維化を反映していることが示唆された。免疫組織学的検討で、障害早期(6h-3日)に抗△di抗体を用いて類洞に沿って一過性に検出されたCSPGについては今年度では分子種類の同定はできなかった。しかし、ラットでの70%肝切除モデルにおいても障害肝と同様に抗△di抗体を用いて類洞に沿う一過性のCSPGの発現が認められることが判明した。このCSPGを生化学的に分析したところSDS-PAGE上で163kDa と 152kDaのcore蛋白を有するPGであることが判明した。一方、肝細胞膜のヘパラン硫酸PGは障害早期(6h)で一過性に染色性が消失することは昨年報告した。この分子は文献的にfibroglycanである可能性が示唆されたので、これに対応するcDNAを作成し障害肝での発現動態を検討した結果、組織染色の結果に一致するように障害6hで一過性にfibroglycan mRNAの発現低下が認められた。このことは、我々の別の研究でfibroglycanはHGFと結合することが判明していることから、肝障害時には肝細胞の膜上のfibroglycanが一過性失われ、肝細胞増殖因子であるHGF刺激が影響を受ける可能性があることが示された。
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[Publications] Ohkura T,et al.: "Increase of fucosylated serum cholinesterase in relation to high risk grop for hepatocellular carcinomas" Cancer Research. 54. 55-61 (1994)
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[Publications] 松下 琢、他: "初代肝細胞のPUF/スフェロイド培養系を用いたハイブリッド型人工肝臓の開発-血漿中での肝機能の維持-" 人工臓器、. 23. 469-472 (1994)
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[Publications] 白羽英則、他: "C型肝炎ウイルス粒子の表面糖鎖の解析" 消化器と免疫. 29. 185-189 (1994)
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[Publications] Koide N,et al.: "Hepatocyte spheroid:differentiated features and potential utilization for the bioreactor or artificial liver support." Animal Cell Technology:Basic & Applied Aspects,. 99-101 (1994)
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[Publications] Hirasaki S,et al.: "A Family with Hereditary Serum Cholinesterase Deficiency" Internal Medicine. (in press). (1995)
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[Publications] 白羽 英則、他: "ラット肝細胞スフェロイドをバイオリアクターとするホローファイバー型人工肝臓の開発" 人工臓器. (in press). (1995)