1995 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌のトランスフェリン・エピゾーム型ベクター複合体を用いた遺伝子治療
Project/Area Number |
05670488
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
越田 吉一 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10231309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 尚文 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40274930)
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Keywords | 遺伝子治療 / 受容体介在 / BPDベクター / 細胞ターゲッティング / トランスフェリン |
Research Abstract |
ウシパピローマウイルス(BPV)由来ベクターは、その受容細胞(主として齧歯類)においては染色体外で複製増殖しコピー数が多いことが特徴であるが、これまでヒト細胞に用いることは困難と考えられてきた。我々は既にヒト肝癌細胞株(Mahlavu)にBPVベクターを導入したところ、高コピー数の安定した発現が得られることを明らかにした(肝臓、33;600,1992)。このことが他の腫瘍細胞に一般化されるかどうかをヒト子宮頚癌細胞(HeLa)とヒト大腸癌細胞(M7609)に同ベクターを導入し検討したところ同様の結果が得られ、さらにin vivoにおいても一回の皮下腫瘍に対する注射のみで少なくとも3週間まではCATの発現が可能であることが明かとなった。一方、悪性腫瘍に目的遺伝子を特異的に導入する方法としてわれわれは、増殖の盛んな腫瘍細胞に存在するtransferrin receptor(Tf-R)を利用する方法を開発してきた(NY Acad Sci,336,1994)。すなわち、本法はTf-RのligandであるTfとDNAをstreptoavidin(SA)-biotinを介して架橋させ、この複合体をTf-Rを介して導入するシステムである。従来のわれわれの方法ではDNAとSAを結合させるのに、まずethylene diamine,sodium bisulfiteでDNAを処理することによりcytosineのtransaminationを行いそこにbiotinを結合させる方法で、その過程が多少複雑であり、時間を要するという欠点があった。そこで今回は、簡便な方法としてDNAをbiotin化する際、強い可視光線をあてる事によって核酸と共有結合をつくるphotoactivatable biotinを利用してTf-DNA複合体を作製し、遺伝子導入することに成功した。この新しい方法を用いることにより、複合体作製が簡便になるだけでなく、使用するDNA量も従来の数十分の1で同様の遺伝子導入効率の複合体作製が可能となった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yoshinori Itoh: "Characterization of tumor-necrosis-factor-gene-transduced tumor-infiltrating lymphocytes from ascitic of cancer patients:analysis of cytolytic activity,growth rate,adhesion molecule expression and cytokine production." Cancer Immunol Immunother. 40. 95-102 (1995)
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[Publications] Yoshikazu Koshita: "Efficacy of TNF-α gene-transduced tumpor cells in treatment of established in vivo tumor." Int J Cancer. 63. 130-135 (1995)