1994 Fiscal Year Annual Research Report
Cytochrome P4502E1の遺伝子解析の臨床的意義
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05670503
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
堤 幹宏 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (00155425)
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Keywords | Cytochrome P4502E1 / アルコール性肝障害 / 遺伝的多型 / Genotype |
Research Abstract |
Cytochrome P450のisozymeの一つであるP4502E1は、非アルコール脱水素酵素系でのエノタール代謝のKey cnzymeであり、アルコール性肝障害の発生にP4502E1が重要な役割を演じていることが明らかにされてきている。近年、P4502E1に遺伝的多型性のあることが明らかにされ、我々は、アルコール性肝障害患者では、P4502E1のc2 geneの保有者の頻度が、健常成人および非アルコール性肝障害患者での頻度に比して有意に高いことを明らかにし、アルコール性肝障害の発生にP4502E1のc2 geneが強く関与していることを報告してきている。一方、P4502E1のtranscriptional activityがgenotypeによって異なることが、Hep G2細胞を用いたCAT assayの検討により明らかにされ、P4502E1のgenotypeがP4502E1の誘導に強く関与している可能性が示唆されてきているが、ヒトにおける両者の関係については明らかではない。そこで、P4502E1のgenotpeとそのtranscriptional activityおよびP4502E1蛋白との関連性を明らかにするため、ヒト肝組織のP4502E1のmRNA量とその蛋白量を測定した。対象は、非飲酒家の非肝・胆道疾患患者12例で、手術時に得られた生検肝組織の一部を用いて検討した。12名の患者のgenotprは、typeA(c1/c1)およびtypeB(c1/c2)がそれぞれ6例であった。GenotypeAとBにおけるmRNA量は、typeAで2.9unit/μgRNA、typeBで2.9unit/μgRNAで、typeBでのmRAN量はtypeAに比し約3倍の高値を示した。mRAN量を測定した同一生検肝組織から抽出したmicrosomeを用いてP4502E1量を測定したが、typeAでは4.2unit/μ g microsomal protein、typeBでは24.3unit/μgmicrosomal proteinであり、typeBのP4502E1量はtypeAのそれに比して約6倍の高値を示した。以上のことは、P4502E1のgenotypeが飲酒によるP4502E1誘導を規定していることを強く示唆しており、P4502E1のc2geneはアルコール性肝障害の発生に関与する重要な遺伝因子であると考えられた。
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[Publications] M.Tsutsumi,et al: "Hepatic messenger RAN contents of cytoclrome P4502E1 in patients with different P4502E1 genotypes." Intrnational Hepatology Communications,. 2. 135-138 (1994)
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[Publications] M.Tsutsumi,et al: "Genetic polymorphisms of cytochrome P4502E1 related to the development of alcoholic livr disease." Gastroenterology.107. 1430-1435 (1994)