1993 Fiscal Year Annual Research Report
気道構成細胞内情報伝達機構におけるcyclic ADP-riboseの役割
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05670513
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 司 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (10241598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高沢 伸 東北大学, 医学部, 講師 (50187944)
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Keywords | 気道粘膜下腺 / カルシウムイオン / イノシトール三リン酸 / サイクリックADPリボース / 分泌 / Clチャンネル / Kチャンネル / パッチクランプ |
Research Abstract |
単離気道粘膜下腺腺房細胞を用いた電気生理学的研究でこれまでに以下の諸点が明らかになった。 1)非刺激時の膜電位は細胞内外の等濃度Cl^-という条件下で-37mV前後であり、K^+チャンネルとCl^-チャンネル両方がこの膜電位形成に関与している。2)コリン作働性の薬物により外向き電流と内向き電流が惹起され、外向き電流はK^+、内向き電流はCl^-により運ばれている。3)側基底側膜にK^+チャンネル(160pS)、培養細胞で管腔側膜にCl^-チャンネル(20pS)が同定され、いずれも細胞内のCa^<2+>によって活性化される。4)Ins P_3を細胞内に投与すると低濃度アセチルコリンと同様の電流振動を生じた。Ins P_3受容体が管腔側膜に局在していることが示され、Cl^-電流を制御しているものと推定された。一方K^+電流はカフェインにより独立に惹起され、Ins P_3感受性のCa^<2+>プールとは別個のプールにより制御されていると考えられた。5)上述の二つのCa^<2+>プールを連絡する生理的な物質の探求を目的にcyclic ADP-ribose(cADPR)を用いた実験を行い、細胞内投与のcADPRが気道粘膜下腺において等濃度のIns P_3よりも強い電流応答を起こすこと、気道腺腺房細胞のマイクロソーム分画からCa^<2+>遊離を惹起することを認めた。cADPRを細胞内に投与した場合、高濃度(20uM以上)では、K、Cl両方の電流が惹起されるが、低濃度(4uM以下)ではK電流のみが出現する。しかも、活性化のパターンは生理的なアゴニストに対するそれとは異なり、高濃度ではionomycin、低濃度ではcaffeineに対する反応に似る。これにより、生理的なcADPRの作用が側基底側膜にあるK^+チャンネル近傍のCa^<2+>プールに働いていることが示された。細胞外のCa^<2+>を高濃度EGTAでキレートしてホールセルの電流を観測すると、細胞外に生理的濃度のCa^<2+>が存在する場合に比して反応は一過性に終わる。cADPRの作用が細胞内Ca^<2+>遊離のみに働くのか細胞外Ca^<2+>の動員にも関与するのか検索中である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] T.SASAKI: "Apically localized IP_3 receptors control chloride current in airway gland acinar cells." American Journal of Physiology(Lung Ceu.Mol.Physical). in press. (1994)
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[Publications] S.TAKASAWA: "Cyclic ADP-ribose in insulin secretion from pancreatic β cells." Science. 259. 370-373 (1993)
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[Publications] T.SASAKI: "A calcium-dependent Cl^- channel identified on apicl surface of cultured human tracheal submuccral gland." American Review of Respiratory Disease. 147. A1009 (1993)
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[Publications] T.SASAKI: "Cyclic ADP-ribose,a candidate for a novel Ca^<2+>-mobilizing second messenger,induced Ca^<2+>-dependent current responses in airway glnd." American Review of Respiratory Disease. 147. A936 (1993)
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[Publications] S.Takasawa: "Synthesis and hydrolysis of cyclic ADP-ribose by human leutoyte antigen CD38 and inhibition of the hydrolysis by ATP." Journal of Biological Chemistry. 268. 26052-26054 (1993)
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[Publications] S.Takasawa: "Cyclic ADP-ribose in β cells." Science. 262. 585-585 (1993)
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[Publications] S.Takasawa: "Frontiers in Insulin Secretion and Pancreatic β-cell Research" Peter R.Flatf and Siguard Leuzan, 850 (1994)