1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肺胞マクロファージのスカベジャーレセプターの発現とその意義
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05670530
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
菅 守隆 熊本大学, 医学部, 講師 (20154437)
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Keywords | 肺胞マクロファージ / スカベンジャーレセプター / in situ hybridization / 異物処理機構 / 肺胞蛋白症 / 肺線維症 / 塵肺症 |
Research Abstract |
ヒト肺胞マクロファージのスカベンジャー受容体(SR)の発現とその意義を知る目的で、肺胞蛋白症患者、肺線維症、塵肺症、肺サルコイドーシス症の各疾患患者と、その対照として健常者の肺胞マクロファージのSRの発現を免疫組織化学、免疫電顕、およびin situ hybridizationにより検討した。 1.免疫組織化学的検討:肺線維症や塵肺症、肺サルコイドーシス症では健常対照群と有意の差は認められず、肺胞マクロファージの約90%でhSRI-2に陽性であったが、肺胞蛋白症では肺胞マクロファージの約70%に陽性像が認められたのみで、肺胞蛋白症でSRの発現が低下している可能性が示唆された。 2.免疫電顕的検討:SRが肺胞マクロファージの細胞膜表面に発現しており、一部エンドゾームにも陽性像が認められ、receptor-mediated endocytosisによる異物処理過程に関与していることが確認された。各種肺疾患についての検討では、肺胞蛋白症で、ミエリン構造をとる脂質の細胞内蓄積とともに、細胞膜におけるSR陽性像の低下が観察された。 3.in situ hybridizationによる検討:肺サルコイドーシス症;92±4.61%、塵肺症;87±4.85%,肺線維症;87±5.48%,健常者;91.2±4.83%で有意の差を認めなかったが、胞蛋白症患者;64±7.48%と有意に低下していた(p<0.05)。 4.サイトカインの検討:これらの疾患におけるBALF中サイトカイン(IFN-γ,TNF-α,TGF-β1,GM-CSF)について検討した結果、有意の差を認めなかった。
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