1994 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄県住民におけるHTLV-I感染者の肺病変に関する研究
Project/Area Number |
05670532
|
Research Institution | UNIVERSITY OF THE RYUKYUS |
Principal Investigator |
斎藤 厚 琉球大学, 医学部, 教授 (90039842)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 和義 琉球大学, 医学部, 助手 (10253973)
兼島 洋 琉球大学, 医学部, 助手 (00185943)
|
Keywords | HTLV-1 / 慢性気道疾患 / HTLV-I関連肺疾患 / T細胞 / CD3 / T細胞抗原受容体複合体 / サイトカイン / 沖縄県 / 気管支肺細胞洗浄 |
Research Abstract |
HTLV-Iの侵淫地である沖縄県において、びまん性汎細気管支炎(DPB)を含めた慢性気道疾患患者をHTLV-I陽性者と陰性者に分け、両群間で臨床的に比較検討した。その結果、喫煙歴、HLA-Bw54、副鼻腔炎の有無、寒冷凝集素価、起炎菌、1秒量、動脈血酸素濃度などの臨床的パラメーターは両群間で有意差を認めなかった。免疫学的指標として、PPD皮内反応、末梢血のCD3、CD4/CD8比、血清可溶性IL-2レセプターについては有意差を認めなかったが、末梢血リンパ球の自己増殖反応がHTLV-I陽性者の中に高率にみられた。また、DPB症例においてマクロライド治療前後で血清可溶性IL-2レセプターを測定したところ、陰性群では治療後に低下傾向はみられたが、陽性群では治療後に高値となった症例がみられ全体的には一定の傾向はみられなかった。 4人のHTLV-I感染者のBALF中よりウイルス感染T細胞株を樹立した。これらの細胞はin vitro培養において同一患者末梢血由来のT細胞株に比較して早期にCD3/抗原受容体の発現低下が観察され、それに伴って抗原受容体を介した刺激によるIL-2産生能も低下した。また、これらのT細胞は無刺激でも大量のIL-6、TNF-αを産生しており肺病変形成に関与している可能性が考えられたので、SCIDマウスの気管内に接触することでHTLV-I関連肺疾患(HAB)モデルの作製を試みた。しかし、今回の試みでは接種されたT細胞は速やかに肺内から失われ、4週後にはウイルスが検出されなくなり、持続感染モデルを作製することはできなかった。また、観察した限りでは肺内に目立った変化は認められなかった。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 兼島,洋: "慢性気道疾患での抗HTLV-I抗体陽性者と陰性者の臨床的比較検討" 日本胸部臨床. 掲載予定 (1995)
-
[Publications] 兼島,洋: "びまん性汎細気管支炎症例での抗HTLV-I抗体陰性・陽性群の臨床的比較検討" 第20回びまん性汎細気管支炎をめぐる研究会. 3-6 (1995)