1993 Fiscal Year Annual Research Report
肺酸素障害発生機序の解明:摘出肺灌流モデルにおける活性酸素検出の試み
Project/Area Number |
05670537
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
辻 千鶴子 東海大学, 医学部, 講師 (80130079)
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Keywords | 酸素障害 / 活性酸素 / 摘出灌流肺 / ウミホタルルミフェリンアナログ / 高濃度酸素 / リポポリサッカライド / 肺障害 / ラット |
Research Abstract |
ARDS、高濃度酸素による肺障害、虚血再灌流障害等の発症は、酸素障害(oxidant stress)によるものであると考えられているが、in vivoでの直接証明はほとんど得られていない。本研究では、酸素障害モデルとして高濃度酸素暴露を行い、ケミルミネッセンス法により摘出肺灌流肺におけるスーパーオキサイド産生のex vivoでの検出を試みた。100%酸素暴露したラットについて肺を摘出し、摘出灌流肺モデルを作成し、スーパーオキサイド産生および刺激剤を添加してスーパーオキサイド産生能を測定し、空気下で飼育したラットの肺と比較した結果、両者に有意の差は認められなかった。この理由の1つとして、装置側に問題点があることが考えられ、ラット肺でより感度よく発光を測定できるよう装置のblack boxを改良した。今年度は、酸素障害モデルとして、以前に行ったin vitroの実験結果より、スーパーオキサイド産生の検出がより容易であると考えられるリポポリサッカライド(LPS)投与による肺障害モデルについて検討した。LPS投与による肺障害はARDSモデルとして一般によく用いられる。その結果、スーパーオキサイド産生、およびphorbor ester opsonized zymosan刺激によるスーパーオキサイド産生能の著しい増加を捉らえることが出来、肺障害に先立って、活性酸素が過剰に生成されることを証明した。また、用いた2種類の刺激剤によるスーパーオキサイド産生能は異なるふるまい示し、ARDSの病態の一部を反映することが分った。この系でのスーパーオキサイド産生の主体は好中球、あるいはマクロファージであると考えられたが、現在、免疫学的手法によりそれぞれの役割を検討中である。現在、装置の改良によりラット肺でのスーパーオキサイド産生測定に適した測定が可能になり、感度が約3〜5倍に増加したので、次年度は再び高濃度酸素暴露動物について検討したい。
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